無担保ローンよりも確実に審査通過率が高く、低金利で高額借入ができるのが不動産担保ローンです。担保とできる不動産を所有しているなら、是非おすすめしたい借入手段と言えます。
しかし、不動産担保ローンは多くの金融機関から販売されており、申込条件や借入条件には多くの違いが見られます。利用時には目的に最も適したメリットの高い不動産担保ローンを選ぶ必要があるでしょう。
そこで今回は満足のいく借入とするためにも、不動産担保ローンの選び方と比較ポイントについて詳しく解説します。
不動産担保ローンの選ぶ際の注意点
不動産担保ローンを提供している金融機関は大きく下記の2つに分類されます。
- 銀行
- ノンバンク
基本的には低金利が適用される銀行からと考える人が大半ですが、銀行で借りられなかった場合には、ノンバンクからの借入を検討する必要が出てきます。そこでノンバンク利用時に注意して欲しいのが悪徳業者や詐欺です。
不動産担保ローンを扱っているノンバンクはどれもが知名度の高いところではありません。むしろ聞いたことのないところの方が多いため、知らずに悪徳業者を利用していた、詐欺に遭ってしまったという残念な結果を招く可能性は否めません。
そこでまずはノンバンクを利用で悪徳業者や詐欺に遭わないよう、その回避方法について解説します。
貸金業者の登録をしているか確認
中小の消費者金融をはじめとする貸金業者には多くの悪徳金融が潜んでいます。その多くが貸金業者の免許を持たない非合法な金融業者で、通常では考えられない高金利の貸し付けが行われ、いつまでたっても返済が終わらず、最終的には返済できずに担保を取り上げられるといった被害が出ています。
そこでそのような金融業者に当たらないためにも、大手消費者金融以外のノンバンクを利用際には、正式に貸金業者としての登録をしているかを確認することをおすすめします。
正式な貸金業者かどうかの確認方法
貸金業を営む際には都道府県知事または財務局長で登録を受けることが貸金業法において義務付けられており、金融庁等でその情報が管理されています。その情報は確認することができ、正式に登録された貸金業者は金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで検索できます。
参考:金融庁検索ページ
検索ページに下記情報を記入すれば、正式に登録された貸金業者ならば、その情報がヒットします。
- 登録番号
- 所在地
- 称号、名称
- 代表者名
- 電話番号
記入した情報で検索がヒットしなければ、正式に登録された貸金業者ではないということです。
登録された貸金業者は上記情報の営業所内設置、および広告への記載が義務付けられているので簡単に確認することができます。特に中小の消費者金融を理由する際には、その情報を利用して悪徳業者の可能性がないかを必ず確認するようにしましょう。
悪徳業者の確認方法
近年は悪徳業者も手が込んでおり、貸金業者としての登録情報を偽っているケースも少なくありません。しかも、正式に登録された悪徳業者も存在しているので、先ほどの情報検索だけで安心できるわけではありません。
金融庁の登録貸金業者情報検索サービスだけでは安心できないという人は、金融庁が掲載している「違法な金融業者に関する情報」を確認してみるのも1つの手です。
参考:金融庁掲載ページ
金融庁が悪徳業者と判断した情報が掲載されているので、検討先の金融業者が掲載されていな愛か確認してみるのもいいでしょう。
悪徳業者のおとり広告に注意
悪徳業者に見られる特徴の1つが借入希望者の気を引くおとり広告です。甘い言葉や表現の広告で、さも簡単に借入できるような広告を電話やメール、FAX等を使ってアプローチしてきます。
特に下記のような通常の借入では考えられないような広告文句が掲載されている場合は要注意です。
- 審査なし
- 自己破産者やブラックでも借入OK
- 必ず貸します
- 希望額全額OK
- 失業者でもOK
- 多重債務者歓迎
また金利掲載が不明確な場合も要注意です。超低金利とか、どこよりも低金利といった曖昧な表現なものや、実質金利ではなく1日わずか1.0%といったトイチ表現は悪質業者であることの証です。
また利息制限法によって下記のとおり上限金利が定められています。
元金 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 20.00% |
10万円以上~100万円未満 | 18.00% |
100万円以上 | 15.00% |
これを超える金利設定が行われている場合は明らかに違法行為となり、悪徳業者と判断できます。
どこからも借入できない状態になると、焦りから通常なら引っ駆らないようなことも判断が付かなくなってしまいます。借りられればどこからでもいいと切羽詰まった状態の人は特に注意してください。
不動産担保ローンを比較する際の注意点
悪徳業者に引っかからないための対応方法を理解してもらったところで、次はメリットの高い不動産担保ローン借入とするための注意点について解説します。
その注意点は下記のとおりです。
- 金利をチェック
- 返済方法をチェック
- 担保の種類をチェック
- 融資限度額をチェック
- 審査にかかる時間をチェック
借入では金利が最重要ポイントとなってきますが、借入する人の要望にあわせた借入とするためには、金利だけに囚われていてはいい結果は招きません。借入する際に金利以外にどのような要望があるのかを明確にし、その条件にあった不動産担保ローンを選ぶ必要も出てきます。
それではこれら注意点について詳しく見ていくことにしましょう。
金利をチェック
不動産担保ローンは高額借入となるため、たった0.01%の違いでも支払利息に大きな影響を及ぼします。3,000万円の借入でこの違いが生み出す額は単純計算で30万円です。となれば小さな差であっても、できるだけ低金利のところを選ぶ必要があるでしょう。
金利面については下記のように圧倒的に銀行の方が好条件です。
銀行
- 住信SBIネット銀行 2.95%~8.90%
- 滋賀銀行 1.95%~4.875%
ノンバンク
- エステートファイナンス 2.40%~15.0%
- アサックス 2.60%~15.0%
※2018年8月現在
借入額や審査結果によっては金利差が影響しないケースも出てくるでしょうが、低金利借入ができる可能性は銀行の方が高くなってきます。特に100万円くらいの少額借入の場合には上限金利が適用されるのが一般的です。
となれば上限金利に大きな差がある両者では、確実に銀行の方が低金利で借入することができます。審査は厳しくなりますが、金利面での優遇を考えるならば、まずは銀行から検討してみることをおすすめします。
返済方法をチェック
不動産担保ローンに限らず、賢い返済を目指す手段として是非利用してもらいたいのが一部繰上返済や全額繰上返済です。余裕がある時にまとまった返済を行えば、元本を減らして払利息を減額することができますし、全額返済ならばさらに大きな支払利息の減額効果が得られます。
不動産担保ローンでも是非とも利用してもらいたい返済手段ですが、返済時の手数料無料が一般的な住宅ローンと違い、不動産担保ローンは有料となるところも多く見受けられます。
東京スター銀行や楽天銀行のように手数料無料というところもありますが、住信SBIネット銀行のように返済額の3.086%(税込)を繰上手数料としているなど、手数料が発生する際には注意が必要です。
仮に住信SBIネット銀行で1,000万円の繰上返済をしたとしましょう。その際にかかる手数料は約10万円です。決して安い金額ではありませんよね。となれば繰上返済を見越して、手数料がかからないという条件も選考基準に加えておく必要があるでしょう。
担保の種類をチェック
不動産担保ローンは担保となる不動産に抵当権の設定が行われます。抵当権とは返済不能となった場合に不動産売却による貸付残金の回収が行える権利で、抵当権は第一抵当権、第二抵当権といったように抵当権をつけた順番が早いほど高い権利を持ちます。
3,000万円の不動産評価額を持つ不動産で、第一抵当権者の回収額が2,800万円ならば、第二抵当権者の回収額が1,000万円あったとしても回収できるのは200万円となるといった具合です。
特に建物の不動産評価額は年数経過によって減額される上、土地の場合にも評価額が下落する可能性は否めません。よって、不動産担保ローンでは何番目の抵当権が付けられるかが審査に大きな影響を及ぼします。
銀行では第一抵当権が必須条件となってきますし、第二抵当権OKとしているところもあるノンバンクでも回収できるだけの不動産評価額を持つ担保であることが条件となってきます。
既に抵当権が付いている不動産を担保にする場合は、まず自分の持つ不動産の評価額が幾らなのか、いくらくらいの余裕があるのかを確認してみることをおすすめします。
融資限度額をチェック
不動産担保ローンは高額借入となるケースが少なくありません。そこで高額借入を希望する際にまず確認して欲しいのが借入上限額の設定です。
何十億もの評価額を持つ不動産を担保にしても、借入希望額が金融機関の定める上限額を超えてしまっていては必要な借入はできません。まずは借入希望額を満たすだけの上限額が設定されているのかを確認してください。
借入上限額は下記のようにノンバンクの方が高額に設定されています。
銀行
- 東京スター銀行 最大1億円
- 楽天銀行 最大1億円
- オリックス銀行 最大2億円
ノンバンク
- ビジネクスト 最大1億円
- 日本保証 最大10億円
- ユニバーサルコーポレーション 最大5億円
※2018年8月現在
ノンバンクは下記のように下限金利が銀行よりも高い設定となっているため、仮に銀行では対応できないような高額借入ができたとしても、金利面のデメリットは拭えず、高い利息を支払うことになってしまいます。
銀行
- 東京スター銀行 0.90%
- 楽天銀行 3.01%
- オリックス銀行 3.68%
ノンバンク
- ビジネクスト 5.0%
- 日本保証 5.0%
- ユニバーサルコーポレーション 4.0%
※2018年8月現在
1億円以下であれば低金利の銀行、それ以上ならば高金利を覚悟してノンバンクを利用するといった対応が必要になってくるでしょう。
審査にかかる時間をチェック
不動産担保ローンを検討している人の中には、融資実行までに掛かる時間が重要になってくるケースも出てくるでしょう。特につなぎ資金や運転資金といった事業性資金として借入する際には、融資スピードを最重要視する人は少なくありません。
ネット銀行では融資実行までに2、3日といったスピード融資を謳っているところも見受けられますが、全体的に見れば銀行とノンバンクでは、下記のように融資スピードには大きな開きが見られます。
- 銀行 最短3週間~1ヶ月
- ノンバンク 最短即日~1週間
融資実行までにかかる時間は銀行とノンバンクとでは全く違ってきます。審査時間は担保物権や申込者の内容によって変わってくるため、上記の融資スピードはあくまでも目安となりますが、早急にお金が必要な人にとっては必須の選択基準となってきます。
銀行では間に合わないという場合には、高金利を覚悟してノンバンクを選ぶしかないケースも出てくるでしょう。
まとめ
不動産担保ローンは不動産を担保にするため無担保ローンよりも好条件で借入ができますが、今回解説したように利用する金融機関によって条件内容は大きく違ってきます。金利面で言えば圧倒的に銀行の方が有利ですが、その他の事情からノンバンクを利用せざるを得ないケースも出てくるでしょう。
自分の要求をカバーできる最適な借入とするためにも、今回紹介した注意点を参考にして、どこから借入するのが一番いいのかを検討するようにしてください。