共有名義の不動産は離婚の財産分与でトラブルになる

共有名義の不動産は離婚の財産分与でトラブルになる

不動産を所有されている方は、その名義が自分なのかそれとも配偶者などとの共有名義かどちらでしょうか。多くは単独名義のはずですが、取得時の様々な理由で夫婦による共有名義にされているケースもあるかと思います。

しかし、離婚という新築時には想定すらしなかったことが起こった場合、この共有名義ということがやっかいな現実問題として目の前に立ちはだかるケースがあります。ここでは、問題の対応方法などについて解説していきます。

【目次】共有名義の不動産と離婚の財産分与でのトラブル
  1. 共有名義不動産とは?
    1. 売却したくてもできない共有名義不動産
    2. 共有名義を解除する手続き方法
  2. 実際のトラブル事例
    1. 感情的になっていて嫌がらせで同意しない

共有名義不動産とは?

そもそも共有名義不動産とはどういう意味なのでしょうか。

不動産を購入するときには登記が必要になります。不動産には必ず所有者が存在しますので、それが誰であるかを法務局に届け出るわけです。その際に一人だけの名義にするか配偶者などとの複数の名義で登記するかの選択が発生します。

例えば、40歳のサラリーマンで専業主婦の奥さんと子供が二人いたとします。そして、この状況で新築の一戸建てを購入しました。建物の工事代金や土地のお金は住宅の施工業者や不動産業者に支払うわけですが、これから住む新築の住宅と土地の所有者を登記しなくてはなりません。

一般的には家計を支える人が単独で不動産の名義人になります。しかし、奥さんも働いていて所得が300万円程度ある場合には、住宅ローンの残債内に対しある一定の規則に従い、夫婦それぞれの所得税から控除が受けられるというメリットがあります。

しかし、単独名義では、奥さんに所得がありそれなりの所得税を納めていても奥さんの所得税からの還付金を受け取ることはできません。このような時に共有名義にするケースが多いようです。また、単独での住宅ローンが難しい時には、働いている奥さんと共有名義にして住宅ローンを組むことも一般的に行われています。

このような理由に加えて、単独名義で登記して万が一事故などで亡くなった場合には、建物などの相続税がすべて配偶者に掛かってくることになります。新築して30年もたっていれば、建物の課税評価額は0円と考えられますが、新築後すぐに相続が発生する場合にはかなりの相続税が発生します。このような理由から共有名義にすることも多いようです。

売却したくてもできない共有名義不動産

ただし、共有名義にした不動産を売却しなくてはならなくなった時には、想定外の問題につきあたる可能性もあるので注意をしてください。その代表的なケースが離婚でしょう。離婚する場合にどちらかが家を出ていくだけならば話は早いのですが、厄介なのは家を売却してその売却益を折半しようと片方が主張した時です。

お互いの同意が必要

このようなケースでは意見の一致を見れば問題は発生しないのですが、配偶者が反対すれば住宅の売却は非常に厳しくなります。考えてみれば当然ですが、共有名義の不動産の売却をするためには共有名義人のすべてが同意しなくてなりません。

共有名義を解除する手続き方法

では、共有名義を解除する方法をここから考えていきましょう。
共有名義を解除して単独名義にする方法の一つに持分放棄という手法があるのですが、これは読んでお分かりのように家の権利を完全に放棄することになります。離婚時などに不貞を犯した配偶者が贖罪(しょくざい)の意味も込めて行うケースが考えられますが、注意しなくてはならないのが贈与税です。厳密に言うとみなし贈与税となるのですが、思いがけない課税には要注意です。

次に考えられるのは配偶者が持っている持ち分を現金で買い取ることです。住宅の価値を査定してもらったら2000万円だったとしましょう。配偶者の登記上の持ち分は20%だと仮定すると、400万円の現金を払うことで持ち分を自分に移して100%の単独名義にする方法があります。

ただし、持ち分は20%であっても、実際の調停現場では50%とみなされるのが実態です。詳しくは後で書きますが、こうなると1000万円を支払わないと共有名義を解消して単独名義にすることができません。

この他の方法として、離婚相手の持ち分を第三者に買い取ってもらえば、とりあえず離婚相手との共有は解消されます。ただし、それに代わる新たな共有名義人が現れるわけですから、実際に解消とはなりません。しかし、離婚相手との不動産共有名義を解消できるわけですから、気分としてはずいぶんと楽にはなるでしょう。

実際のトラブル事例

共有名義の解消は可能ですが難しいケースが多い。結論としてはこうなるのですが、実際にあった事例をご紹介します。

感情的になっていて嫌がらせで同意しない

最も多いのは離婚による共有名義の解消でしょう。ただし、離婚をするわけですから、財産分与を伴う共有名義の解消は一筋縄ではいきません。実際に関与した事例をご紹介します。夫の持ち分が90%、妻の持ち分が10%というマンションがあり、結婚後わずか2年で離婚に至ったケースです。

夫の不貞が原因で妻が愛想を尽かして家を出ていく・・・というのが大まかな話の筋なのですが、妻が要求したのはマンション購入時の価格5000万円の半分にあたる2500万円の現金。これが共有名義解消の条件。不動産に関する要望として、とにかく持ち分比率を超える2500万円の現金を要求してきたのです。

夫の不貞が原因ですから夫の分は悪いのですが、奥さんの持ち分はあくまで10%です。つまり、夫としては10%にあたる500万円の現金ならば払ってもいい、と主張しお互いに平行線。もちろん10%以外にも子供の養育費なども払って行くので、夫にとっては500万円の線は譲れません。

ただ、奥さんも当初は500万円で納得していたらしいのですが、女性問題が絡んでいるのでどうにもこうにも腹の虫がおさまらずにいたのでしょう。いろいろと調べまわった挙句に、とうとうこんな主張をしてくるに至りました。

「現金2500万円は当然だけど、不貞による慰謝料をさらに1000万円欲しい。応じられなければ持ち分の解消には絶対に応じない!」となったのです。奥さんの気持ちはわからなくもないのですが、感情的というか嫌がらせに近い泥沼状態になったのです。

ここで一つ疑問を感じられるかもしれません。慰謝料の1000万円は横に置いたとして、持ち分が10%にも関わらず50%の2500万円を要求するのはおかしくないか? ということです。本来ならば夫が主張するように、建物の共有名義解消をするならば10%にあたる500万円が妥当な金額であると言えるような気がしますね。

しかし、実際の離婚事例にみる共有名義の解消の場合、登記上の持ち分比率は考慮されずに互いに50%の権利があるとみなされるのが一般的なのです。その情報を妻は得て、半ば嫌がらせのような態度に打って出たのでしょう。自分がその家を出ていき、その後釜として不貞相手の女性が家に住み始めるというのは耐えられないということです。

自宅を配偶者との共有名義にしている人でも、そのことを日常では考えることもないでしょうし、ましてや離婚した場合の対処方法などは想像したことすらないと思います。しかし、可能性は0ではありません。ただ、共有名義を解消すること自体は難しいですが不可能なことではありません。そのようなケースに備えて、共有名義の方は少しだけでいいので知識を蓄えておきましょう。

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