中古住宅の購入でもすまい給付金は利用できる?

中古住宅の購入でもすまい給付金は利用できる?

住まい給付金という言葉を聞いたことがあるでしょうか?いわゆる住宅ローンのような借り入れではなく、文字通りの給付金ですので、要件に当てはまりさえすれば返済する必要のない、「もらえるお金」となります。

ただ、新築住宅であれば適用範囲が広く、問題なく受け取れるケースが多いのですが、中古物件になると要件を満たす物件が減ってしまうので注意して下さい。

ここでは、あらためて住まい給付金とはどんな内容なのかについて、わかりやすく解説します。

住まい給付金とは

住まい給付金とは、収入に応じて最大30万円をもらえる制度です。消費税の増税による負担を少しでも減らすため、国土交通省が定めたものです。

消費税が8%の時は最大で30万円、10%の時は最大で50万円を給付されることになっています。

住まい給付金を受けるための条件

今回は、新築住宅ではなく中古マンションに話を絞って、具体的な給付条件について解説します。

中古住宅でも利用できる?

結論から言うと、利用はできますが、「売主が宅地建物取引業者であること」との条件が付いています。つまり、売主が個人の場合は対象外となります。理由は、個人が売主の場合は購入時に消費税がかからないからです。

そもそも住まい給付金とは、消費税増税分を緩和する目的で創設されたものですから、このような消費税がかからない売買において、現金を給付することは制度の趣旨に反するということです。

宅地建物取引業者が買い取った中古住宅を購入する場合においては、住まい給付金の給付対象となります。不動産業者が中古住宅を買い取り、それをリフォームして売りに出すケースなどが該当します。

ここでは上記のケースで話を進めますが、給付対象の収入目安としては、年収が510万円以下(消費税8%)、年収が775万円以下(消費税10%)となります。

ただし、この基準は住宅ローンを使った場合に限られます。50歳以上という条件はつきますが、現金で購入した場合は給付対象となります。

新築でも同じなのですが、床面積が登記簿上で50平米以上であることに加えて、第三者の現場検査を受け、一定の品質が確認された住宅であることも条件とされます。

中古住宅の給付条件は厳しめ

「第三者の現場検査を受けて一定の品質が確認された住宅」が問題になりそうですので、これについて詳しくお話をしていきましょう。

新築住宅おいては、瑕疵担保責任(問題があったら売主の責任ということ)についてうるさく言われるようになって久しいのですが、中古住宅についてはかなり立ち遅れていたのが現状です。

この状況を改善するために、中古住宅の売主である業者は「既存住宅売買瑕疵保険」に加入することを義務づけられました。そして、この保険に加入するためには「第三者の現場検査を受けて一定の品質が確認された住宅」が必須となりました。

このように中古住宅における住まい給付金の給付条件は、新築より明らかに厳しくなるので、検討している物件がこの条件に適合するかどうかをしっかりと見極めてからの購入をおすすめします。

住まい給付金の申請方法と期限

申請書の入手方法は、各都道府県にある窓口(東京都の場合は4か所)に直接出向いてもらうか、ホームページからダウンロードするかのいずれかで、申請方法は窓口へ持ち込むか郵送となります。

ただ、確認書類の不備はもちろんですが、窓口では外国語での応対はしないのでご注意ください。

そして、さらに注意しなくてはならないのが申請期限です。引き渡しを受けた日から1年以内が当初の申請期限だったのですが、申請件数が総定数をかなり下回ったようで、1年3か月まで延長されました。

長くはなったものの、この期限を過ぎての申請は一切受け付けられませんので、自宅内の目立つ場所に締め切り日をメモしておくことをおすすめします。

すまい給付金を申請する際の必要書類

ここでは、すまい給付金を申請する際に必要な書類をご紹介します。

書類に不備がある場合、申請が通らないので、事前にしっかりとチェックしておきましょう。

中古住宅の場合

  • 住まい給付金申請書
  • 住民票の写し
    【市町村役場で取得】
  • 不動産登記における建物の登記事項証明書・謄本(所有権保存登記されているもの)
    【法務局で取得】
  • 個人住民税の課税証明書
    【市町村役場で取得】
  • 不動産売買契約書
  • 中古住宅販売証明書
    【売主が用意】
  • 住宅ローンの金銭消費貸借契約書
  • 振込先口座が確認できる書類

上記の他に、下記の4つの中からいずれか1つ、売買時等の検査実施が確認できる書類が必要になります。

  • 既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書
    【売主が用意】
  • 既存住宅性能評価書(耐震等級1以上のものに限る)
    【登録住宅性能評価機関から取得】
  • 住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書【売主が用意】
    ※建設後10年以内であって、住宅瑕疵担保責任保険へ加入している場合
  • 建設住宅性能評価書【売主が用意】
    ※建設後10年以内であって、建設住宅性能表示を利用している場合

すまい給付金と住宅ローン控除の併用は?

住まい給付金は消費税増税に対する負担緩和のために創設されたのですが、以前から存在する住宅ローン控除というものもあります。

両方とも税金負担を軽減するものですが、「両方とも恩恵を受けられるのか」という疑問を持つ方もいるでしょう。

結論としては、住まい給付金と住宅ローン控除の併用はできますので安心してください。

確定申告する際の注意点

ただし、住宅ローン控除の主旨はもちろんのこと、申請の方法などが住まい給付金とはまったく異なるので要注意です。

ここでは、住宅ローン控除の申請ポイントを簡単に説明します。

住宅取得から6か月内に入居すること

自己居住用ということです。投資目的に中古住宅を買っても住宅ローン控除の対象とはなりません。

添付書類の依頼と入手

住民票の写し、残高証明書、源泉徴収票、既存住宅性能評価書などが必要ですが、住宅ローン控除はローンの残債から控除しますのでローン残高以上の控除はありません。

入居翌年の確定申告時に申請

これが意外な盲点と言いますか注意点になります。あなたが中古住宅を購入し、1月1日に入居したと仮定します。この場合は翌年の確定申告ですから、入居から1年3か月も先の申請となってしまいます。

「うっかり忘れていて失効していた」というケースも多いようなので、絶対に忘れないようにしてください。

まとめ

住まい給付金や住宅ローン控除は、新築住宅や中古住宅を購入する際の心強い味方となります。しかし、いずれも時限立法なので、経済状況の好転によっては廃止される可能性も十分にあります。

当面はその気配もないので安心して大丈夫だとは思いますが、経済の動きや国会の審議には注意を払ってください。

住まい給付金対象の中古住宅を購入する際には、既述のように不動産業者や住宅会社を通じてというケースがほとんどでしょう。

しかし、親切な業者さんであれば住まい給付金や住宅ローン控除に関するアドバイスをくれるはずですが、知識や情報が不足している場合も考えられるので、自分しっかりと知識を得ておくことが大事です。

この給付金は、1万円や2万円の話ではありません。申請をしないと、最大で30万円ものお金をもらい損ねてしまうので、自分でしっかりと調べて、機会を逃さないように注意してください。

参考:国土交通省 すまい給付金