店頭金利(基準金利)、優遇金利、適用金利の違い

店頭金利(基準金利)、優遇金利、適用金利の違い

住宅ローンの仕組みとは、実際に利用してみるまではなかなかわからないものです。

メガバンクに地方銀行、またはネット銀行までと特色のあるローンが提供されていることから、選択肢もが豊富です。

その中でも特にわかりづらいのが金利です。「基準金利」、「優遇金利」、「適用金利」、「店頭金利」、「実行金利」などと、呼び方も様々です。

統一性がないため、住宅ローンについて比較しようにも最初は混乱してしまう人が多いと思います。ですので、住宅ローンを選ぶ際には、まず金利についてを知っておく必要があります。

これから住宅ローンの利用を検討している方は、しっかりと理解しておきましょう。

住宅ローンの金利の違いに注意

住宅ローン金利には様々な種類や呼び方が存在するので、1つ1つ混同しないように理解するのがポイントになります。間違った理解はトラブルの元になる可能性があるので注意して下さい。

店頭金利=基準金利

 

店頭金利と基準金利ですが、意味合いとしてはほぼ同じです。メガバンクなどでは店頭金利と呼び、店舗を持たないネット銀行などでは基準金利と呼ばれることも多いです。

店頭金利と基準金利とはそれぞれの金融機関が独自に決めることができる金利のことです。家電製品や衣類を購入する際、メーカーが設定する商品の定価にも近いもので、金融機関によって違いがあります。

市場金利に照らして決定することから、各金融機関において横並びで差がほとんどないのも事実です。

経済状況に合わせて決定されるがゆえに、景気が良くなることで店頭金利も高くなり、景気が悪くなることで店頭金利も低く設定される傾向もあります。

店頭金利(基準金利)の重要性

しかし、住宅ローンをこの店頭金利基準金利で販売している金融機関はほとんどありません。

住宅ローンの競争の激化から、キャンペーン金利や金利の割り引きが当たり前になっています。多くの金融機関において店頭金利や基準金利から○○%優遇というように、金利を引き下げた適用金利や優遇金利で販売されています。

そこでの店頭金利と基準金利はあくまでも指標となり、住宅ローンを比較する際には、適用金利優遇金利に着目することが重要になります。

だからと言って、店頭金利や基準金利をチェックしなくても良いわけではありません。条件や金利のタイプによっては、割り引きやキャンペーンがいつまでも受けられるとは限りません。

ローンの返済が滞れば優遇が中止されてしまい、結果として店頭金利(基準金利)が適用となることもあります。

住宅ローンを検討する際には、店頭金利や基準金利もチェックし、できたら返済額も一緒に試算することがおすすめです。

優遇金利とは

優遇金利とは、店頭金利基準金利から一定の割合を引き下げた金利のことです。

主に各種キャンペーンなどによって適用される特別な金利を示し、それぞれの金融機関によって優遇の幅に違いがあります。

また、この優遇幅で他行との差別化を図っていると言っても良いほどで、わかりやすく言えば金利のディスカウントです。

優遇金利の使われた方ですが、実際に引き下げられる率なのか、引き下げ後の金利をなのか、やや曖昧な部分があります。

これについては、引き下げ率引き下げ幅と考えて良いでしょう。実際に多くの金融機関において、その解釈にて説明をしています。

金利を引き下げる理由や目的とは

それぞれの金融機関が、金利の引き下げをする理由や目的は、住宅ローン申込者を獲得するためです。

新規に申し込みをする方をはじめ、他行からの借り換えを検討する方を呼び込むために、金融機関間においての金利引き下げ競争は、年々激化する傾向です。

大幅な金利の引き下げが期待できるのは、住宅ローン利用者にとっては嬉しいかぎりでしょう。しかし優遇金利には、あらかじめ気をつけたいポイントもあります。

優遇金利のポイント

優遇金利には、2つのタイプがあります。金利を比較する際の重要なポイントとなってきますから、覚えておきましょう。

1つは当初期間優遇金利です。住宅ローンの返済期間の中で、一定の期間において引き下げ幅の大きい金利が適用されるタイプです。変動金利や固定金利の中間にある、10年固定などとも言われる金利優遇になります。

例えば、10年目までは1.5%などの高めの金利優遇を受けて、その後は割引率を低くした1.0%程の優遇を受けるというものです。なお優遇金利が適用される期間ですが、住宅ローンの商品ごとに異なってきます。

当初期間優遇金利のメリットは、住宅ローン開始時の負担が軽減されることにあります。また、金利が低いうちに、繰上返済を積極的にしていきたい方にも向いているでしょう。

全期間一律優遇と比較して、住宅ローン全体の金利の負担は大きくなる点はありますが、金利優遇期間のうちに家計を安定させることはできます。

もう1つが通期優遇金利です。ローン返済の全期間にわたって優遇金利が一律で適用されるタイプで、固定金利でよく使われている優遇になります。

メリットとしては計画的にローンを組むことができる点で、返済をコンスタントに行いたい方や返済期間が長い方にはおすすめです。

これまでは全期間適用されることで、引き下げ幅が小さいなどのデメリットも見られました。しかし、金利競争の激化から、引き下げ幅が大きい優遇金利が全期間一律で受けられる住宅ローンも増えています。

当初期間優遇金利と通期優遇金利でどちらが良いのかについては、その人によって様々です。借入額や返済期間なども含めて、金融機関に相談してみると良いでしょう。

優遇金利には条件つきの場合も?

優遇金利が適用されるには、一定の条件をクリアしなくてはいけない場合があります。

条件は金融機関によって異なりますが、大きく挙げられる条件は下記のようになります

  • 給与振込口座や、積立定期預金を開設する
  • 公共料金の引き落とし先として設定する
  • 銀行発行のクレジットカードを作成
  • ネット手続きの場合にかぎる

これらについても、事前に確認をしておきましょう。

適用金利=実行金利とは

適用金利(実行金利)とは、金融機関との間で住宅ローンの契約を締結し、基準となる各種優遇金利を適用して算出された実際の金利のことです。

要するに、店頭金利(基準金利)から優遇金利を差し引いたものになります。

金利の引き下げ交渉はできる?

住宅ローンにおいて、交渉による金利の引き下げはできるのかについて解説します。

新規利用の場合は困難なことも

住宅ローンを新規利用する際にに金利の引き下げ交渉をして、優遇金利からさらに引き下げとなるのは難しい状況です。なぜなら、公開されている優遇金利が値引く余地のない水準まで下げてしまっているからです。

また、ネット銀行などですと、金利の引き下げ交渉ができる余地はまったく無いと言って良いほどです。

新規の申し込みの場合は、金利の引き下げ交渉をすることよりも、低金利の住宅ローンを選ぶことを重要視した方が良いでしょう。

ただし、給与の振込口座を指定している自己資金が2割以上あるなどの場合は、金利が優遇される可能性はあります。

借り換えの際には交渉の余地あり

新規ではなくて借り換えの場合ですが、金利引き下げの交渉の余地があります。

住宅ローンの借り換えをされてしまうということは、一括返済によって貸付額がゼロとなり、今後の利息収入が見込めないことになります。

借り入れ先の金融機関の現在の金利までなら、交渉次第で引き下げてもらえる可能は大きくあります。

その場合、金利交渉の際に金融機関側に、借り換えの本気度を見せる必要があります。どこの銀行の住宅ローンに申し込んでいて、どんな条件なのかななどの、具体的な内容を言えるようにしておきましょう。

まとめ

住宅ローンの金利ですが、ただ表示されている適用金利だけでは判断できないことが多くあります。

よりお得な住宅ローンを選ぶために、金利の表示方法や優遇金利の仕組みについてを知っておくことが大切です。

適用条件などを正確に把握して、賢く住宅ローンを選びましょう。