住宅ローン控除(減税)を受けるための条件と計算方法

住宅ローン控除という言葉は、マイホームに関心がない方でも一度は耳にしたことがあるはずです。住宅ローン控除は、正しくは「住宅借入金等特別控除」と言います。

しかし住宅ローン控除には複数の通称があり、住宅ローン控除のほか単に「ローン控除」と短く表現することもありますし、所得税等を減税することから「住宅ローン減税」という言い方もあります。

そんな住宅ローン控除ですが、ローン控除受けるための条件や計算方法について、ここでは詳しく解説します。

住宅ローン控除の条件

はじめに住宅ローン控除受けるために必要な条件について説明しますが、今回はそのなかでも、2014年4月から2019年6月末までに入居した方が対象となる、最新の住宅ローン控除(減税)の条件について解説します。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅の新築や購入または増改築をした場合、定められた要件のなかで借入金の年末残高に対し所定の控除率を乗じ、各年度の所得税額から控除できる特例です。

住宅ローン控除が始まったのは1999年(平成11年)のこと。その年の1月1日から、2001年(平成13年)の6月30日までに入居した場合が該当し、当初は15年間もの控除期間が設けられました。

あれから控除を受ける条件を追加しながら変わった部分もありますが、ローン控除の基本的な内容はそれほど変わってはいません。

住宅ローン控除を受けるには?

住宅ローン控除を受ける条件は、基本的なことは新築住宅も中古住宅も同じです。

ただ、中古住宅は新築住宅の条件に追加して、「満たさなければいけない条件」があります。そのためここでは新築と中古住宅を分けて条件を記します。

新築住宅を購入するケース

ここで言う新築住宅とは、新築戸建てや新築マンションだけではなく、広い意味で中古住宅にも該当します。

なお各項目については、「No.1213住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)国税庁」を参照しています。

  • 1. 新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。

新しい住まいを持つのであれば、通常この条件を満たしているはずです。ただし年末間際の引き渡しを予定していた注文住宅の場合、施主の度重なる変更等で工期が想定外に伸びることもあり、年度内の入居が難しくなる場合があります。

工事が始まってからの変更が起こらないように、住宅メーカー側と施主との間で建物の設計内容を、しっかり詰めておく必要があるでしょう。

  • 2. ローン控除を受ける年度分の合計所得金額が3千万円以下であること。
  • 3. 新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。

床面積は不動産登記上の床面積をもとに算定します。と言うことは、パンフレット等に掲載されている床面積ではありませんので注意して物件を見てください。

なお戸建住宅の場合は壁心(かべしん)、集合住宅の場合は内法(うちのり)により測定するのが決まりです。これは、マンション等の場合は異なる隣室との境界に遮音性能や防火性能が求められる「界壁」を取る必要があり、戸建住宅のように面積を壁心では測れないからです。

また建築基準法では、住居部分と店舗を併用した「店舗併用住宅」の場合、「床面積の2分の1以上の部分が」自分が居住用に使うスペースとする必要があります。

  • 4. 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築又は取得のための一定の借入金又は債務(土地等の取得のための借入金等を含みます)があること。

住宅ローン控除を受ける場合は、住宅ローンの返済期間は10年以上必要ですが、ここではそのことを言っています。

  • 5. 居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと。

居住の年の前後それぞれ2年間(計5年間)に、住み替えなどで「長期譲渡所得の課税の特例」を受けていると、住宅ローン控除は受けられなくなります。結局どちらが得かの話ですが、「長期譲渡所得の課税の特例」を検討中の方は注意してください。

  • 6. 借入金の償還期間が10年以上あること。

これは、償還期間10年以上の住宅ローンを金融機関などから借りていることを指します。なお、勤務先から1%未満の金利で借りた場合や、親族・知人からの借り入れは、住宅ローン控除の対象外です。

  • 7. 年収が3000万円以下であること。

年収が3000万円を超える年度については、住宅ローン控除が利用できませんので注意してください。

  • 8. 増改築等の場合も住宅ローン控除が受けられます。その場合は、工事費が100万円以上の物件が該当します。

中古住宅を購入するケース

中古住宅が住宅ローン控除を受けるには、耐震性能を有していなければなりません。ここでは、その条件を紹介しましょう。

各項目については「No.1214中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁」を参照しています。

1. 耐震性能を有する中古住宅とは木造なら20年、耐火建築物の場合は25年以内に建築された住宅であること。

中古住宅で住宅ローン控除を受けるには耐震性能を有していることを別途確認する必要がありますが、単に築年数だけでも確認が取れます。それが、構造種別が木造なら20年、耐火建築物なら25年以内というものです。

なお耐火建築物には鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造のほかにも、戸建ではまだ少数ですが「ツーバイフォー(ツーバイシックス)」や木造軸組工法による建物も含まれる場合があります。

2. 以下のいずれかにより現行の耐震基準の適合が確認された住宅であること

「以下のいずれか」とは次の3つのうちのいずれかを指します。

  • 耐震基準適合証明書:建築士等が証明した適合証明書が発行される物件の場合
  • 住宅性能評価書:「住宅性能評価」で耐震等級1以上が確認できる物件の場合
  • 住宅売買瑕疵保険に加入:当該物件が住宅瑕疵担保責任保険法人による「既存住宅売買瑕疵保険」に加入している場合

築年数で耐震性を証明できない場合、耐震基準適合証明書をつけ忘れたり、引き渡し前に既存住宅売買瑕疵保険の加入が間に合わず、ローン控除を受けられないトラブルが過去に多数発生しました。今後も中古物件を耐震リフォームしてローン控除を受けようとする方は、とくに注意する必要があるでしょう。

控除額の計算方法

ローン控除の計算方法は住宅ローンの年末残高に控除率を乗じれば、控除可能金額はすぐ計算できます。たとえば今は控除率は1%ですから、住宅ローン年末残高が2,800万円だとすると、28万円が年控除額の上限です。

ただし、28万円がそっくりそのまま戻るわけではではありません。2,800万円×1% で計算されるのは控除額の上限値で、実際には所得税でいくら引かれているかを見なければなりません。

所得税の年合計が10万円の人は、たとえ控除可能額が28万でも10万円が実際に控除される金額です。これは住宅ローン控除が何に対して控除されるかを考えれば理解できます。住宅ローン控除はローン減税とも言われますが、それはあくまで所得税に対して行われてきた減税です。

試算例

2,800万円×1%=28万円(控除可能金額)

ただし、所得税が10万円の場合は10万円が、15万円の場合は15万円が実際に控除される金額となる。

しかし平成21年度税制改正によって、住宅ローンの控除制度は大きく変わっています。それは住宅ローン控除を所得税だけではなく住民税からも控除できるようにしたことです。

2014年3月までに居住した場合の住宅ローン控除内容は、最高200万円まで所得税より控除でき、所得税から控除しきれなかった分は、最高97,500円を限度に課税総所得金額の5%を次の年の住民税から控除できるように変わりました。

さらに消費税の増税以降、2014年4月からのローン控除では、最高400万円まで所得税より控除でき、同じく所得税から控除しきれない場合、最高136,500円を限度に課税総所得金額の7%を次年度住民税から控除できるように制度を拡充させています。

なお「最高400万円まで所得税より控除でき」るとしているのは年間控除額は40万円を上限とし、控除期間が最大10年あるからです。決して間違いではありませんがローン控除独特のレトリックに注意しましょう。

また住民税は次年度から控除できるのは、住民税が今年度の所得に対して計算される「後払い」の納税だからです。

所得税や住民税はいくら戻ってくる?

それでは、今の住宅ローン控除で所得税や住民税はいくら戻ってくるか試算してみましょう。なお、計算が理解しやすいように次のような世帯を想定してみました。

設定条件
  • 世帯年収:620万円
  • 年末ローン残高:3000万円
  • 所得税:14.5万円
  • 住民税(次年度予定):26万円
  • 所得控除の額の合計額(源泉徴収票):248万

以上の条件で試算すると、所得税控除額は14.5万円、次年度住民税控除額は13.65万円となりました。

住宅ローン控除可能額

3000万円 × 1% = 30万円

所得税はいくら控除できる?

14.5万円なので全額控除できる(所得税)

所得税だけで控除しきれなかった分は

30万円 − 14.5万円 = 15.5万円

住民税はいくら控除できる?

248万(所得控除の額の合計額)× 7% = 17.36万円

故に、どちらか少ない額は13.65万円(住民税)

トータルでいくら控除できる?

14.5万円 + 13.65万円 = 28.15万円

すべての利用者が毎年40万までローン控除できるわけではありませんが、控除枠を住民税にまで拡充させたことは、住宅ローン控除を受ける人にとって優位性になるはずです。

ただ、所得税(国税)の負担を減らし、その代わり住民税(地方税)の負担を増やす政策は「税源移譲」と言われるもので、ローン減税だけを拡充した政策ではありません。しかも良い面もありますが悪い面もあります。

私たちの生活を見直してみると、税負担額の増減はありませんが、課税内容はここ数年で相当変わっています。2007年以前から働いていた方は、所得税の額は大幅に減り、代わりに住民税の負担は増えていることに気づくと思います。知らなかった方は、少し気にかけておくと良いのではないでしょうか。

ローン控除を最大限に活用する方法と注意点

さいごに住宅ローン控除を最大限に活用するため、どういう点に注意すれば良いかをまとめてみます。

住宅ローンの返済期間に注意!

住宅ローンについて繰り上げ返済で注意したいのは、住宅ローンの返済期間が10年を切ることです。そこまで順調に住宅ローンを片付けられた家族にしては侵し難い平凡なミスとも思えますが、返済期間10年などの短い住宅ローンを組んだ方は確かにやってしまいそうな間違いです。

何か意図あってのことなら良いのですが、ローン控除を継続したい場合は注意してください。

ローン控除の期間は最長10年と決まっている

住宅ローンの借り換えはネット銀行の得意分野でしたが、近年は店舗を持つ銀行でも積極的に対応しています。ただ注意したいのは、住宅ローンを借り換えたことで気づくローン控除についての誤解です。基本的なことですがローン控除は初めて入居した年から最長10年と決まっています。

借り換え時に残存する控除期間が3年だとしたら、借り換え後のローン控除期間は基本的に変わらず3年です。これより短くなることはあっても長くなることはありません。

住宅ローン控除を受けている間は繰り上げ返済するのは損?

ローン控除を受けている10年間は、繰り上げ返済してしまうと損するということはよく聞きます。この場合大切なのは、繰り上げ返済を行う前にシミュレーションサイトを使ってかならず試算してみることです。

ただ傾向として言えるのは、金利が1%にも満たない0.675%などの超低金利の住宅ローンでは、ローン控除を受けている間は繰り上げ返済をしないほうが得になるケースが確かに多くなります。

逆に金利が1%以上になると、早くから繰り上げ返済をしても損することはありません。損するか得するかは微妙なものです。でもこうした傾向があることは知っておくと良いでしょう。

繰り上げ返済は年末より年明けに実行する

住宅ローン控除中に繰り上げ返済しても損しない場合があると言うことですが、繰り上げ返済するタイミングについては何月ごろが適切と言えるでしょうか。よくボーナス時期に合わせて繰り上げ返済を実行することから、時期として夏であれば7月や8月を選ぶことが多いと思います。冬であれば12月か1月でしょう。

ただ冬の場合は何月ごろが適切なのかと言うと、これは年末12月ではなく年明けの1月です。

繰り上げ返済は早く実行した方がその効果はより大きくなります。その理論からたとえひと月の差でも、12月に繰り上げ返済を実行したほうが利息軽減効果が高まると考えられます。

しかし多くの場合、1月に繰り上げ返済した方が少しの違いですが得になることがわかっています。その理由はまとまった額を返済せず、控除対象となる額を減らさずにいたことが大きいようです。もっともこれも全てのケースで当てはまるわけではないので、事前にシミュレーションは実施してほしいところです。特に繰り上げ返済は額の大きさで変わります。

なお夏のボーナス時期に予定している繰り上げ返済がある方は、基本的に時期をずらさす返済します。夏はずらさず冬は1月にずらすようにすれば、大抵は間違いはないでしょう。

夫婦で組める3つの住宅ローンの違いを把握しよう

住宅ローンを組む家庭は、世帯収入を増やす意味もあって夫婦共働きの家庭が多くなります。またその働き方に合った住宅ローンの組み方があり、ローンによって控除の仕方はもちろん変わってきます。最後に住宅ローン控除を最大限に生かす、共働き夫婦におすすめの3つの住宅ローンの違いを把握しておきましょう。

夫婦で組める住宅ローンは3タイプあります。

ペアローン型

夫婦それぞれが別々の契約の住宅ローンを組む方法。ひとつの住宅に2つのローン契約が存在します。同時に二つのローン契約があるため諸費用もダブルで掛かりますが、ペアローン型の利点として住宅ローン控除もダブルで行えます。

そのため、借入額にもよりますが、諸費用の増額分も2年ほどで回収できると言われています。ペアローン型の当面のウィークポイントは、妻側の出産などで生じる休業・復職のリスクが懸念される点です。職場環境が公務員並みに進んでいるところが増えていくことで、ペアローン型の住宅ローンはいま以上に定着すると考えられます。

連帯債務型

夫婦2人の年収を合算し、ひとつの住宅ローンを組む方法。夫が主債務者、妻が連帯債務者となります。連帯債務型の利点は、ひとつの住宅ローンでも住宅ローン控除を夫婦とも受けられる点です。ただしひとつの住宅ローン契約のため、団信は主債務者だけが加入できます。

なおフラット35には、夫婦で団信に加入でき特約料も割引になる「デュエット」という住宅金融公庫時代から人気の高い商品があります。これも連帯債務型の住宅ローンです。「デュエット」は、3大疾病付きの団信は適用されませんが、夫婦で組める住宅ローンとしてはかなりおすすめです。

連帯債務型のウィークポイントは、民間の銀行や信金で連帯債務型を扱っているところが限られる点です。大手やネット銀行では三井住友やソニー銀行が思いつきますが、あとは八十二銀行、山梨中央銀行、広島銀行などの地方銀行にまばらに見られる程度です。

連帯保証型

連帯保証型は夫が主債務者となり連帯保証人になる契約形態で、国内の金融機関であればどこでも扱っています。そのため、夫婦で組める住宅ローンといえば、日本では連帯保証型をイメージする方が多いでしょう。

ただし、ペアローン型や連帯債務型が夫婦共に住宅ローン控除を受けられるのに対し、連帯保証型は妻の年収を合算できてもローン控除は受けられません。

また連帯保証型は妻は債務者ではありませんので、団体信用生命保険も適用されません。住宅ローン返済の実質的負担を減らす役割があるローン控除を夫婦分活用できない連帯保証型は、夫婦で組める3つ住宅ローンのうち、今後は最後の選択肢になると考えられます。

このように住宅ローン控除を受けるための条件は、契約する人や家の状況、住宅ローンの種類によって異なります。控除が適用されなかった場合、数十万円も違ってくるため、しっかりと条件を満たす必要があります。

自分の状況を把握してから、どのような手順で控除を受ければ損をしないのか、よく考えて手続きを進めていきましょう。

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