住宅ローンに三大、七大、八大疾病特約やガン保障は必要?

住宅ローンに三大、七大、八大疾病特約やガン保障は必要?

銀行の住宅ローンは、原則として団体信用生命保険の加入が必須ですが、住宅金融支援機構は、団体信用生命保険への加入は必須ではありません。

ですが、被保険者がローンの返済中に、死亡または高度障害といった不測の事態に陥った場合、団信があるからこそ遺された家族は債務の返済から解消されるという大きなメリットがあるため、ほぼすべての方が加入していると思います。銀行も貸倒のリスクから免れることができます。

その後、貸付をしてくれる銀行なども自由化が進み、これまでの団体信用生命保険の条件だけでは、ユーザーの保障ニーズを満たせなくなってきました。

そこで登場したのが、団信に付いてくる色々な「疾病特約」です。そこでここでは、疾病特約の必要性について考えてみましょう。

住宅ローンの疾病特約の必要性は?

今では当たり前のように団体信用生命保険とセットになっている疾病特約ですが、実際に使われるようになりだしたのは2003年ごろ。「ガン保障特約付住宅ローン」が最初ではなかったでしょうか。

それから間も無く「三大疾病特約付住宅ローン」が登場し、疾病特約が付いていない団体信用生命保険の方がめずらしくなっています。

疾病特約とは

あらためて、疾病特約とは、団体信用生命保険(以下、団信)を主契約とした場合、これに附帯する特約部分を指します。

その後、七大、八大疾病は付いていて当たり前になり、最近では九大疾病、全疾病特約なども見かけるようになりました。

これから、記事のなかで疾病特約の必要性を検討していきますが、疾病特約以前にまず主契約の団信も必要性もみなければなりません。理由は、団信の高度障害の判定基準は非常に厳しいものだからです。

団信の高度障害とは、次の8つのうちのひとつに該当する状態を言います。

  1. 両眼の視力を全く永久に失ったもの
  2. 言語またはそしゃく機能を全く永久に失ったもの
  3. 中枢神経または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
  4. 胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
  5. 両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  6. 両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  7. 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  8. 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

逆に言うと疾病特約のメリットは、疾病特約をつけることで団信の保障範囲が格段に広がったことです。その意味では、団信の非常に厳しい高度障害の判定基準が、疾病特約の必要性をかえって高めたと言えるでしょう。

ただ、数々の疾病保障を短時間で育ててしまったたことが、この特約の歴史です。当然ながら保障内容に保険商品特有の「目に見えないムリ・ムダ」があってもおかしくありません。

以下に、主要な疾病特約の保障内容をまとめていますので、それぞれについてみていきましょう。

三大疾病とは

三大疾病とは、悪性新生物(がん)・急性心筋梗塞・脳卒中のことで、これらの疾病を保障する特約です。

また三大疾病は国民病とも言われ、平成27年度の厚生労働省の人口動態統計では、1位:悪性新生物、2位:心疾患、4位:脳血管疾患(2012年より3位に肺炎が浮上している)となっており、死因率も高くなっています。

なお、保険金の支払事由は引受保険会社によって微妙に違います。ここでは、「3大疾病保障付機構団体信用生命保険」を例に、保険金の支払事由を書き出してみます。

(平成27年10月1日より改正・実施された「3大疾病保障付機構団体信用生命保険」は、急性心筋梗塞及び脳卒中の保険金の支払事由に「その疾病の治療を直接の目的として、所定の手術を受けたとき」を追加しました)

悪性新生物(がん)

保険期間中に、所定の悪性新生物(がん)に罹患したと、医師によって病理組織学的所見(生検)により診断確定されたとき
※所定の悪性新生物には、上皮内がんや皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がんは含まれません。)

急性心筋梗塞

保障開始日以後の疾病を原因として、保険期間中に次のいずれかの状態に該当したとき

1. 急性心筋梗塞を発病し、その急性心筋梗塞により初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、労働の制限を必要とする状態(軽い家事等の軽労働や事務等の座業はできるが、それ以上の活動では制限を必要とする状態)が継続したと医師によって診断されたとき

2. 急性心筋梗塞を発病し、その急性心筋梗塞の治療を直接の目的として、病院または診療所において手術を受けたとき
※平成27年10月1日以後の手術が対象)

脳卒中

保障開始日以後の疾病を原因として、保険期間中に次のいずれかの状態に該当したとき

1. 脳卒中を発病し、その脳卒中により初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、言語障害、運動失調、麻痺等の他覚的な神経学的後遺症が継続したと医師によって診断されたとき

2. 脳卒中を発病し、その脳卒中の治療を直接の目的として、病院または診療所において手術を受けたとき
※平成27年10月1日以後の手術が対象)

「3大疾病保障付機構団体信用生命保険」の支払事由の追加等に関するお知らせ・住宅金融支援機構
http://www.jhf.go.jp/topics/topics_201507_danshin.html

悪性新生物(がん)は、医師により診断が確定すれば、住宅ローンの残債は相殺されます。

他の二疾病(急性心筋梗塞・脳卒中)についても、60日以上所定の状態が継続したと医師が認めれば保険が下ります。

保険の必要性は各々個人の要件に関わってくるものですが、特に必要がなければ三大疾病までの疾病特約で、団信の保障は十分だと思います。

七大疾病とは

七大疾病は、死因率が高い三大疾病(悪性新生物・急性心筋梗塞・脳卒中)に加えて、高血圧症、糖尿病、肝硬変、慢性腎不全をカバーする疾病特約です。

高血圧症、糖尿病、肝硬変、慢性腎不全は生活習慣病とも言え、成人病などのリスクに保証を広げた団信とも言えます。

三大疾病に保険金支払事由については既出の例(「3大疾病保障付機構団体信用生命保険」)を参考にしてもらうとして、三大疾病を除外した4つの生活習慣病について、保険金の支払事由をまとめてみますと以下のようになります。

1. 保障開始日以後の保険期間中に、4つの疾病によって所定の就業不能状態が最長12か月継続した場合、毎月の住宅ローン返済額を保証する(これを約定返済保障と言います)。

2. なお且つ、所定の就業不能状態が12か月を超えて継続した場合(継続したと認められる期間は30日など)、当該住宅ローンは全額支払われる(これをローン残高保障と言います)。

就業不能状態とは

団信には「就業不能状態」という言葉がしばしば出てきます。

「就業不能状態」とは、労働の制限を必要とする状態と医師が診断したもので、具体的には「入院または医師の指示による自宅療養等により、本人の経験・能力に応じたいかなる業務にも全く従事できない状態」を言います。

つまり、ここでは「入院または医師の指示による自宅療養等により、本人の経験・能力に応じたいかなる業務にも全く従事できない状態」が12か月を超えて継続しなければ保険金の支払事由には該当しません。

ただ、就業不能状態が12か月を超えて継続することは、非常にレアなケースであり、保険が実行されるハードルの高さを感じます。また疾病特約の必要性の点でも、ほとんどの方が三大疾病以上に疾病数を増やす意味はあまり感じられません。

また、保障開始日前に発生した就業不能状態は、保障開始日以降継続しても保障の対象となりませんので、附帯する方は注意が必要です。

八大疾病とは

八大疾病とは、七大疾病+慢性膵炎のことです。三大疾病+生活習慣病5種が八大疾病と考えれば理解が早いかもしれません。なお、八大疾病と七大疾病を両方用意している銀行はなく、普通はどちらか一方を提案しています。

また、保険金支払事由についても七大疾病と同じで、生活習慣病4種が5種(慢性膵炎)に増えたと解釈してもらえれば良いでしょう。

ただし、八大疾病に代表される「三大疾病+多種生活習慣病特約」系の団信になると、三大疾病の保障が三大疾病本来の保障とは違う場合があります。

もちろん、それを理解して契約していれば何も問題はないのですが、それと分からず契約するとあとで問題に発展しかねません。

ここからは、「三大疾病の保障が三大疾病本来の保障とは違う場合」とはどういうものなのかについて解説します。

「三大疾病本来の保障とは違う場合」とは

一般的な八大疾病は、三大疾病特約に、5種類の重度慢性疾患特約が付くと考えて下さい。

しかし、「三大疾病本来の保障とは違う場合」の八大疾病特約は、8つの疾病すべてが保障開始日以降に就業不能状態となり、それが12か月以上継続しなければ保険金が下りません。

通常なら三大疾病本来の悪性新生物(がん)保障は、医師により診断が確定すれば住宅ローンの残債は相殺されます。他の二疾病(急性心筋梗塞・脳卒中)についても、60日以上所定の状態が継続したと医師が認めれば保険が下りるようになっています。

しかし、「三大疾病本来の保障とは違う場合」になると、がんも急性心筋梗塞も脳卒中も、他の生活習慣病と同じように保障開始日以降に就業不能状態となり、これを12か月以上継続しなければ保険は下りません。

なぜそうなるかと言うと、ひとつは年齢が46歳を超えた場合など、年齢制限かかる場合です。そしてもうひとつが、保険料を安く設定している場合です。

いずれの場合でも、団信のパンフレットをみれば保障内容は理解できるはずです。契約する前に自分で加入した団信の保障内容をチェックしておきましょう。

ガン保障について

疾病特約の中で最初に登場したものが「ガン保障」で、その後、ガン保障が発展して三大疾病や八大疾病などがつくられてます。文字通り、悪性新生物を保障する特約です。

今では三大疾病がありますから、団信につける疾病特約としてガン保障を単独で提案する銀行は少なくなりました。ここでもう一度、ガン保障の保障内容を見てみましょう。

ガン保障とは、「保険期間中に、所定の悪性新生物(がん)に罹患したと医師によって病理組織学的所見(生検)により診断確定されたとき(所定の悪性新生物には、上皮内がんや皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がんは含まれません)」に保険金の支払事由に該当する疾病特約です。

厳密に言えば、保障の対象とならない上皮内がん(上皮内新生物)には、子宮頸がん0期、食道上皮内がん、乳房・膀胱などの非浸潤がん、大腸の粘膜内がん、皮膚の悪性黒色腫の上皮内がん等があります。

また、保障開始日より前(通常、融資実行日より91日目以前)に罹患したがんは、診断確定日に限らず保障の対象となりません。

ただ、ガン保障は「保険期間中に、所定の悪性新生物(がん)に罹患したと医師によって病理組織学的所見(生検)により診断確定されたとき」に、保険金の支払事由に該当しますから、ほかの疾病特約より保障が有効になるハードルは低いと言えます。

特に、家系的にガンになる確率が高いと判断される方には安心できる特約です。

なお、ガン保障をつける場合ですが、先ほどの八大疾病のように12か月以上就業不能状態を継続しなければ保険が有効にならない場合があります。

自分がつけているガン保障がどちらにタイプなのか、疾病特約ではとくに大事なことですから注意しましょう。

保険料や注意点について

保険料の負担は、団信料は銀行と機構団信でほとんど変わりありませが(機構団信の方がやや安くなる)、支払い方法などに違いがあります。

民間の銀行の保険料の目安

銀行の住宅ローンは団信の加入が必須です。そのため、団信主契約の保険料の負担は、はじめから金利に含まれています。そして疾病特約をつけた場合は、保障内容に応じた金利負担が設定されており、金融機関によって違いがあります。

目安として次のようになります。

ガン保障:0.1%~0.2%
三大疾病:0.2%~0.3%
七大疾病:0.3%
八大疾病:0.3%(日常のケガや病気保障特約などをつけた場合は0.4%)

最近では、疾病特約分の毎月保険料を、別途支払うタイプの団信も登場しています(みずほ、三菱UFJなど)。

住宅金融支援機構の保険料の目安

住宅金融支援機構は民間の銀行とは違い、団信の加入は任意です。そのため機構団信を使う場合は、ローン返済とは別に年払いで保険料を負担することになります。

また、銀行でいうところの疾病特約は三大疾病までとなり、保険料(機構団信の場合は「特約料」と言う)は借入残高で決まります。

なお、機構団信の加入は任意ですので、健康状態によって銀行の住宅ローンの団信ではじかれてしまった方は、住宅金融支援機構の住宅ローン(フラット35)を申し込むのもひとつの方法です。

疾病特約をつける際の注意点

銀行の疾病特約をつける際の注意点は、ガン保障の保障内容に気をつけることです。

ガン保障は保障内容の違いに注意したい

ガン保障のところでも注意しましたが、通常は悪性新生物の診断が確定するとローン残高保障が有効になり、住宅ローンの残債が相殺されるのがガン保障です。

ところが、ガン保障によっては悪性新生物が診断確定してもすぐ住宅ローンの残債が相殺されず、就業不能状態が12か月間継続した後でなければ約定返済保障で終わる場合があります。

自分が選ぼうとしている団信が、ガン保障がどちらのタイプかをきちんと知った上で契約しましょう。引受保険会社によって年齢制限がかかるものもあります。

機構団信の注意点と代替えの民間の生損保商品

機構団信で注意したいのは、団信の代わりに民間の生損保等を利用する場合でも、決まったものがない場合は一応機構団信に加入しておくことです。

万一、民間生損保に適品がなかった場合、融資手続きを過ぎると機構団信には加入できなくなります。そうなると無保険状態のまま、住宅ローンを返済しなければなりません。

ユーザーの申し出で、機構団信はいつでも解約できます。機構団信を解約するのは、民間生損保を契約してからと心得てください。解約返戻がある場合はそれも戻ります。

機構団信の代わる民間の生損保商品ですが、おすすめは変額終身と、逓減定期特約の抱き合わせ保険と収入保障保険です。どちらの保険も保証額が年齢に従って減少する三角形タイプで、そのぶん保険料も安くなっています。

それでも保険年齢が30代後半になるに従い、機構団信のほうが保険料は次第に割安になってきます。どちらを選ぶかはシミュレーションして決めれば良いでしょう。

まとめ

保険は一度不安になると、あれもこれもと特約数を増やしてしまいがちです。考え方がその方向に向かっていると感じた方は、少し冷静になり、客観的に本当に必要可どうか見てみましょう。

ただ、保険は個人差がありますから、特定の疾病が不安な場合は、それに合った保障を考えましょう。その場合は、民間の安い保険でも保証を賄えることを覚えておいて下さい。

特約付き団信は、住宅ローンの金利に上乗せすると途中解約はできないので、団信の保障は基本的に、「必要最低限に絞る」と頭に入れておきましょう。

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