「25年前に義姉が組んだ住宅ローンで、連帯保証人に自分がなったような気がするけどよく覚えていない…」
このようなケースは少ないとは思いますが、しかし、住宅ローンを25年前に組んだ義兄弟が病で急逝されたという時、ふとこんなことが頭をよぎるということはたまにある話なのです。
このような疑問を少しでも持たれている方のために、連帯保証人に自分がなっているのかどうかを確認する方法を解説していきましょう。
連帯保証人になっているのか確認するには?
一般的には、銀行に聞いてみようと考えると思いますが、自分が連帯保証人になっているかは、自身でも簡単に調べることができます。日常生活ではあまりなじみのないかもしれませんが、CIC、JBAなど、金融業界の信用情報機関に情報開示を求めることによってわかります。
これらの開示方法に加えて、そもそも連帯保証人になる際にはどんなものが必要なのかや、連帯保証人に勝手にさせられていたケースが発覚した時の対処方法などについて解説します。
連帯保証人になる際に必要なもの
住宅ローンの連帯保証人に、あなたの意志でなっていたと仮定します。この場合ですが、どのような書類がその当時必要であったかをお話しします。
本人のサインなどが必要
当然の話なのですが、連帯保証人になったのならば、当時の書類にあなたの自筆サインが残されていなければなりません。自筆のサインがなければ法的効力はありません。
ただし、ごくまれにはサインした記憶がないのに、自筆とされるサインが契約書に残されているケースもあります。
考えられるパターンとしては、自分でサインしたことを完全に忘れているケース。そしてもう一つは、あなたに成りすました第三者が、書類に筆跡をまねてサインしたことが考えられます。
悪意をもった第三者の介入に対する対応策は後述しますが、連帯保証人になるには、「債権者の目の前であなたがサインをすることが最低条件になっている」と理解しておいて下さい。
信用情報を確認する
私たちがクレジットカードを作成したり商品を分割購入する際には、金融機関の審査がはいります。その時に与信をする材料として、CIC、JBAといった機関が利用されることになります。
CICの開示書のチェックポイント
CICとは銀行ではなく、主に貸金業者や信販業者などが加盟している信用情報機関です。もし、あなたが信販会社のクレジットカードに付随しているキャッシング機能を利用すると、その利用内容がここに登録されることになります。
本人が申請をすれば、誰でもが信用情報を入手することができます。実際に取り寄せて確認してほしいのですが、まず初めにチェックしてほしい箇所は次の点です。
書類の欄に、【12.契約書種類】という箇所があります。通常であればローンやキャッシングをするのは本人ですので、この欄には【本人】と記載されています。しかし、住宅ローンの保証人にあなたがなっていた場合には【保証人】と記載されているはずです。
もう1つだけ、必ずチェックしてほしい箇所があります。実際に保証人となっているかどうかの確認ではなく、第三者があなたを「保証人予定者」として、情報開示をしたかどうかも分かるようになっています。
これについては、信用情報開示を誰が申し込んだかという項目を見ればすぐにわかります。
【8.紹介区分】との欄を見ていただくと、「本人」となっているのが一般的ですが、保証人予定者として開示請求された場合には、【保証人】と記載されているのですぐにわかるでしょう。
しかし、あなたの記憶が全くないにもかかわらず、保証人としての登録情報があったり、保証人としての信用調査をされたと判断した場合には、まずは記憶を手繰り寄せて、実際にそのような書類にサインをして承諾したかどうかをしっかりと確認することが重要です。
JBA(全国銀行協会)の開示書のチェックポイント
基本的にはCICと似た組織ですが、こちらは銀行でお金を借りたり、住宅ローンを組んだりしたときの内容が登録されています。住宅ローン、カードローン、などが該当します。
JBAにもCICと同様に、あなたの信用情報の開示請求をできます。そのうえで、住宅ローンの保証人になっていないかどうかのチェックができます。では、具体的にどこを確認すればよいのか解説します。
登録情報開示書の中に【取引書類等】という欄がありますが、ここに連帯保証人と記載されていれば、あなたの記憶にあろうとなかろうと、保証人として認識されているということの証明となってしまいます。
信用情報に出ない保証人について
通常は、お金を借りたりすれば信用情報に履歴が掲載されるのですが、保証人になっていても信用情報に載らないケースも少なからずあるので要注意です。
銀行や信販からお金を借りたり、知り合いの住宅ローンに関する保証人になれば必ず信用情報機関に載るのですが、このような公的な団体ではなく個人的に保証人になった場合のデータは存在しません。
問題なのは書類として残っていても、公的な書類ではないのでもめごとの原因にもなりがちです。もし今後の人生においてお知り合いや親せきの保証人になるのであれば、こういった契約は避けた方がよいかと思います。
最近ニュースでも話題に上がりますが、奨学金に関する保証人になったケースも押さえておきましょう。住宅ローンの保証人とは直接は関係ない話なのですが参考までに書き添えます。
学生が奨学金を借りる場合、ただ借り入れただけでは借りた本人も保証人も信用情報機関には登録されません。登録されるのは、債務者本人が返済を3か月以上滞らせた場合のみです。
しかも、このケースにおいても保証人が登録されることはありません。したがって、奨学金の保証人になっているかどうかは確認しようがないのです。
勝手に保証人になっていた場合の対応方法
ここまでは住宅ローンに関する保証人に、自分がなっているかどうかの確認方法についてお話をしてきましたが、最後の項目ではこうして確認をしたうえで、自分の覚えがないのに保証人となっていた場合の対応方法を解説します。
知らぬ間に保証人になっていた場合に考えられるのは、
- 悪意ではなく本人が失念している
- 本人が知らないところで印鑑証明などを悪用されて保証人とされてしまった場合
の2つが考えられます。
悪意ではなく本人が失念している場合
これは残念ながら裁判で争うほかはないでしょう。しかし、書類等の押印やサインが間違いなく本人のものである場合は、簡単に主張が認められえるとは考えにくいです。
印鑑証明などを悪用されて保証人とされてしまった場合
無断で印鑑を持ち出されたり、第三者を替え玉としてサインをさせたりするというケースもあり得ます。この場合は徹底的に戦う必要があるでしょう。手間暇はもちろんかかりますが、弁護士にすべてを打ち合分けて、裁判所に訴えて手伝ってもらうしかありません。
「自分が連帯保証人かどうかを確認する方法」と聞くと、何やら難しく感じてしまいますが、CIC、JBAという信用情報機関には、誰もが簡単にアクセスできます。少しでも疑問に感じたりしたら、気楽に問い合わせをしてみましょう。もやもやした悩みが一気に解決するはずです。