住宅ローンの審査基準は?通らない人の特徴と理由

住宅ローン申し込みを検討してはいるが、審査通過できるかどうか心配だという人は多いことでしょう。住宅購入を決めたのに審査に通らず、借入先が決まらないという話はよく耳にするので、心配になる気持ちも分からないではありません。

そこで今回は住宅ローン審査で重要となる審査基準を理解してもらい、その審査基準が原因となり審査落ちとなってしまう人の特徴とその理由を解説していきます。審査通過に自信がないという人は最後まで目を通してもらい是非参考にしてください。

住宅ローンの審査基準

住宅ローン審査を通過するためにクリアしなければならないのが各金融機関の定める審査基準です。金融機関が用いる審査基準には下記のように様々なものがあり、これら各項目は属性と呼ばれています。

  • 年齢
  • 勤務先
  • 勤続年数
  • 年収
  • 居住形態
  • 家族構成
  • 他社借入件数
  • 他社借入総額
  • 返済状況における問題の有無

しかし、審査基準は公表されているわけではないため、申し込んだ金融機関がどんな属性を審査基準としているかは確認することはできません。ですがこの属性に問題があれば確実に審査に悪影響を及ぼす審査基準は特定できます。

高額借入となる住宅ローン審査では年収の高さが大きく影響してくると考えられがちですが、実際には年収の高さはさほど影響せず、下記の条件をクリアできていれば年収が問題視されることはありません。

  • 完済できるだけの信用度があるか
  • 毎月の返済額に見合う収入があるか
  • 安定した年収を継続して得られているか

そして、これら条件をクリアできているかどうかを判断するために重要視されるのが下記の3つです。

  • 返済状況における問題の有無
  • 勤続年数
  • 他社借入件数と他社借入総額

それでは上記属性においてどのような状態が問題視されることになるのか解説していくことにしましょう。

返済状況における問題の有無

住宅ローン審査時には必ず申込者の個人信用情報が確認されます。個人信用情報には申込者の借入やローンの詳細情報が保管されており、下記のような様々な情報を確認することができます。

  • 借入先
  • 借入残金
  • ローン契約先
  • ローンの返済残金
  • 各社への返済状況

借入やローンの残金については後ほど解説するので割愛しますが、この個人信用情報の中でまず注目してもらいたいのが返済状況です。審査においては返済能力と信用度の有無が最重要事項となってきますが、返済状況に問題があれば返済能力と信用度に問題ありとされ、審査落ちの原因となってしまいます。

多少の遅延ならば問題視されることはありませんが、下記のようなブラックリストもしくは金融事故と呼ばれる記録があれば、まず審査を通過することはありません。

  • 延滞
  • 代位弁済
  • 強制解約
  • 債務整理

返済能力と信用度があると判断してもらうためには、約定日に確実に返済されているかが大きく影響してきます。ここで問題ありと判断されれば審査通過の大原則とも言える返済能力と信用度がないとされてしまいます。

そうならないためにも借入やローンの返済は確実に遅れることのないよう心がけましょう。

勤続年数

住宅ローンは何十年にも及ぶ長期返済となることから、金融機関は年収の高さよりも勤続年数を重要視します。勤続年数は長ければ長いほど退職や転職の可能性が低くなり、安定した収入が継続して得られると考えられるからです。

少額借入のカードローンの場合は短期返済となるため、申込条件に勤続年数の規定はありません。しかし、長期返済を前提とする住宅ローンでは安定した収入が継続して得られていることが必要なため、その判断基準として勤続年数が申込条件として規定されています。

規定されている勤続年数は金融機関によって違いはありますが、国土交通省のアンケート結果で金融機関の約90%が1年から3年を条件としていることが公表されています。しかし、これはあくまでも最低条件の数値であり、申込時にはできるだけ長い勤続年数の方が高評価となってきます。

条件をクリアしていれば申し込みはできますが、できるだけ優位に審査を進めたいと考えるならば、勤続年数を稼いでからの申し込みが好ましいでしょう。

他社借入件数と他社借入総額

安定した年収が継続して得られているとしても、必ずしも住宅ローンの返済に充てるだけの余力があるとは限りません。金融機関からの借入やローンの返済があれば、それを考慮する必要があるからです。

たとえ年収が1,000万円あったとしても借入やローンの返済が年間800万円となれば、住宅ローン返済に充てるお金は用意できるとは考えられません。こういった理由から住宅ローン審査では、返済に充てられる余力がどれだけあるのかが重要視されます。

そして、その判断基準となるのが返済負担率です。返済負担率とは年収に占める年間の総返済額の割合を指し、一般的には20%から25%が無理なく返済できる妥当なラインとされています。返済負担率の基準は金融機関によって違ってきますが、25%を超える場合には審査が厳しく行われることになり、あまりに高いようだと審査落ちの原因となってきます。

審査難易度が緩いと言われるフラット35では30%から35%となっていますが、民間銀行ならば20%から25%が審査に影響なく安心して申し込めるラインとなってくるでしょう。

そこで申込前に確認してもらいたいのが他社借入件数と他社借入総額です。借入総額が大きく影響してくることは今更解説するまでもありませんが、ここで注意してもらいたいのが借入件数です。近年はクレジットカードやカードローンを複数社契約している人は少なくありません。

しかし、これらクレジットカードやカードローンの複数所持も他社借入総額同様に、返済負担率に大きく影響して審査落ちの原因となってきます。

クレジットカードやカードローンを作ってはいるが実際に利用はしていない。そういう人も少なくないでしょう。しかし、実際に借入を行っていないとしても、審査時には設定された借入上限額が借金としてカウントされてしまいます。カードローン4社と契約しており、それぞれ50万円の借入上限額が設定されていいれば、借入ゼロでも審査では200万円の借金としてカウントされるといった具合です

これは住宅ローン審査で返済負担率に大きく影響する可能性も出てくるので、利用せずに維持しているものがあれば、申込前に是非解約することをおすすめします。

クレジットカードのキャッシング枠

最近のクレジットカードには各社独自のポイントやサービスがあるため、それを目的に複数社と契約している人は少なくありません。

しかし、クレジットカードで注意して欲しいのがキャッシング枠です。クレジットカードには買い物に利用できるクレジット枠と、カードローンのようにお金を借りることができるキャッシング枠、2つの機能があります。

そして住宅ローン審査に影響を及ぼすのがキャッシング枠です。先に話したようにこのキャッシング枠に定められた借入上限額は審査時には借金として換算されるため、複数のクレジットカードを所持し、それに全てキャッシング枠を設けていれば、その額面次第で審査に影響が出てくることも考えられます。

そこで住宅ローン申込前に行って欲しいのが利用していないクレジットカードの解約、もしくはキャッシング枠の解約です。

解約の手続き方法

それでは簡単にクレジットカードの解約手続きの方法について紹介しておきます。クレジットカードの解約手続きは利用先によって違いがあるので、今回はあくまでも概要紹介となります。実際に解約する際には利用先に連絡して確認するようにしましょう。

クレジットカードの解約手続きは面倒だと思っといる人は多いでしょうが、意外にも大半のクレジットカードは電話一本で解約することができます。解約までの流れは下記のとおりです。

  1. クレジットカード会社に連絡する(大抵は解約用の専用番号有り)
  2. オペレーターまたは音声ガイダンスに従って解約手続きを進める
  3. 手続き完了

電話だけでなくネットでも解約可能としているところも多いので、解約時にはまず解約方法を確認してみるようにしましょう。

また解約する際にはクレジットカードの利用残金が完済されている必要があります。キャッシングやショッピング利用の残金がある場合には、解約前に一括返済する必要が出てくるので注意が必要です。リボ払い等が残っており、一括返済ができない人はキャッシング枠の解約のみでもOKです。

解約方法はクレジットカード本体と同様の手続きで処理できます。一括返済が無理だという人はキャッシング枠だけ解約し、後は返済に務めるようにしましょう。

カードローンの借入金額

クレジットカードのキャッシング枠と並んで中して欲しいのがカードローンの借入です。近年は消費者金融だけでなく、銀行カードローンの利用者が多くなったため、カードローン利用者は多いことでしょう。

しかし、このカードローン所有は確実に審査に影響を及ぼします。複数社借入している人や、何百万円もの高額な借入上限額が設定されている人は、特に審査時への影響が大きくなってきます。利用していないものは解約し、審査への影響を抑えることをおすすめします。

解約の手続き方法

それでは先程と同様にカードローンの解約手続きの方法を簡単に紹介しておきますが、カードローンは電話一本で済むクレジットカードと違い、若干面倒な作業が必要となります。

実際に行う場合には利用先に必ず問い合せて欲しいのですが、基本的には電話での解約申込後、解約書類への必要事項の記入と捺印が必要になります。それでは解約までの大まかな流れを見てみましょう。

  1. 利用先に電話して解約の意向を伝える
  2. 利用先から解約書類が郵送される
  3. 解約書類に記入捺印後、人用書類とともに再郵送
  4. 利用先での解約処理
  5. .解約完了

また解約時には借入が完済されていることが必要になるため、借入残金があるところを解約する際には一括返済が必要となってきます。クレジットカードのようにキャッシング枠を解約することで審査に借金額を減らすという方法は取れません。借入がある場合には返済を進めて完済し、借金を減らすことを目指しましょう。

通らない人の特徴と理由について

それでは住宅ローン審査で重要視される審査基準について理解してもらったところで、次は住宅ローン審査に通らない人の特徴と理由について解説します。ここで解説するタイプに該当する人は、審査通過が厳しいタイプとなってきます。

まずはその問題を改善し、審査落ちとなる原因を取り除くようにしましょう。

転職したばかりの人

ここまでにも話したとおり住宅ローンの申込条件には、1年から3年ほどの勤続年数が設けられていることが一般的です。よって転職したばかりの人はこの勤続年数をクリアできるまで住宅ローンの申し込みすらできません。

転職時期と住宅購入時期が重なってしまいそうな人は注意が必要です。

また、併せて注意してもらいたいのが、本契約後に転職しなければならなくなったというケースです。

本審査後に転職する際の注意点

本審査が完了しいざ契約となった時点でやむ得ず転職しなければならなくなった。こういうケースは考えられなくもありません。しかし、住宅ローン審査は転職前の勤務状態を元に審査合否が決定されているため、その場合には再審査が必要となってきます。

ここでよく覚えておいて欲しいのが、再審査で審査落ちとなった場合の手付金の処理です。

やむ得ず転職しなければならなくなったケースでは、契約時に支払った手付金は返金されるケースが一般的です。しかし、自己都合で転職して審査落ちとなったケースでは、審査通過に必要な条件内容を変化させたという理由で、支払った手付金は没収されてしまうことになります。

本契約後の転職は再審査が必要になることが大半です。基本的には見合わせることをおすすめしますが、やむ得ず自己都合による転職をする際には、デメリットがあることをよく覚えておきましょう。

自営業者や個人事業主

自営業者や個人事業主は安定した収入が得にくいと考えられがちです。実際に長年高収益を上げている自営業者や個人事業主はいるのですが、全般的には得られる収入が安定しないというのが一般的な金融業者の見解となっています。

そこで問題となってくるのが先に解説した審査時に求められる「安定した収入が継続して得られているか」という条件に反する点です。

この観点から職業が自営業者や個人事業主の場合には、厳しい審査が行われることになり、営業年数が短ければ申込時の業績が良くても審査落ちとなる可能性も出てきます。

特に民間銀行の住宅ローンでは、その傾向は強くなってきます。気になる人は自営業者や個人事業主の申し込みOKで、勤続年数に規定のないフラット35がおすすめでしょう。

非正規雇用(フリーランス)で働いている人

非正規雇用者には下記のような職業が挙げられますが、正規雇用者と最も違うのが雇用期間への安心度です。

  • 契約社員
  • 派遣社員
  • パート、アルバイト

どれもに雇用期間は定められてはいますが、正規雇用者のように定年時までの雇用が基本保証されているわけではありません。よって、住宅ローン審査では、「安定した収入が継続して得られている」という条件から、審査は厳しいものとなってくるでしょう。

金融機関の中でには正規雇用を申込条件としているところもあるので、非正規雇用者にとって住宅ローンは狭き門であると言わざるを得ないのが実情です。

中には契約社員や派遣社員の申し込みをOKとしている金融機関はありますが、その場合にも年収と勤続年数が重要になってきます。直近2年から3年の収入証明書の提出が求められることから、それに応じた勤続年数が必須となってきます。

申込条件をクリアできたとしても正規雇用者より厳しい審査となるため、審査通過率は決して高いとは言えず、審査落ちとなるケースが多くなることをよく理解しておきましょう。

別荘やセカンドハウスの購入目的

生活の居住空間を得るための住宅購入では、ローン利用者の高い返済率が期待できます。自分の住む場所を失うことはできないため、それを守ろうと何とか返済に努めようとする意識が働くからです。

しかし、別荘やセカンドハウスの場合には、この意識が働かないため居住住宅のような高い返済率は期待できません。

それもあって別荘やセカンドハウスの住宅ローン審査では、より高い返済能力と信用度が求められます。通常の住宅ローンよりも高い審査基準が設けられ、審査難易度も高いため、審査落ちとなる可能性がグンと高くなってきます。

基本的に別荘やセカンドハウスを購入する人は高額所得者が多く、返済能力と信頼度ともに高いと判断されることが多いのですが、ローン申込前には自分がその条件に当てはまっているか自己確認する必要があるでしょう。

まとめ

住宅ローンの審査基準には多くの属性が設定されていますが、審査合否に大きく影響するのは下記の3点です。

  • 完済できるだけの信用度があるか
  • 毎月の返済額に見合う収入があるか
  • 安定した年収を継続して得られているか

審査合否は総合点で決定されるため、1つの属性評価が悪くても総合力でカバーすることができるので、全ての審査基準で高評価を得る必要はありません。しかし、今回解説した上記条件をクリアするための審査基準に問題があれば、総合力に関係なく審査落することとなるでしょう。

この点をよく理解して、審査落ちとなる問題があるならば申込前に解決し、優位に審査を進められる状態で住宅ローンに申し込むようにしてください。