住宅ローンを契約する際に、まず金利のタイプについて気にする方も多いと思います。「全期間固定金利タイプ」、もしくは半年ごとに金利の見直しが入る「変動金利タイプ」のどちらにするかという点でしょう。
あまり知られてはいない点ですが、金利タイプ以外にも、返済方法を2種類のタイプから選択する必要があります。これは、返済額の元金と利息の割合をどのように決めるかということで、元利均等返済と元金均等返済が挙げられます。
たった一文字の違いですが、特徴や計算方法も大きく異なり、それぞれにメリットやデメリットがあります。どちらを選択するかによって、家計やライフプランへの影響も変わるので、違いを理解した上で自分に適した住宅ローンの返済方法を選びましょう。
ここでは、元利均等返済と元金均等返済の特徴にメリットやデメリットなどを中心に解説していきます。
元利均等返済と元金均等返済の違い
まずは、元利均等返済と元金均等返済の違いから解説していきます。
元利均等返済とは
元利均等返済とは、もっとも一般的とされていて、「元金と利息の合計金額が均等になる」返済方法です。
月々の返済額は一定となり、金利が変わらないかぎりは最後まで続きます。月々の返済額の内訳は「元金+利息」となっていて、利息は未払いの元金に対して発生します。
実際に住宅ローンを利用している方の声として「住宅ローンは、借りたばかりの頃は利息ばかり払っている」なんて言葉を耳にしたこともあると思います。
これは、借り入れ残高の多い当初は、元金に対しての利息の割合が多いからです。そのことによって、元金が減るスピードはどうしても遅くなってしまいます。
返済が進むことで利息分の割合が減っていきますから、返済額に対する元金と利息の割合は変わっていきます。支払い期間の終了が近くなる頃には、返済額の多くが元金になっているという仕組みです。
元金均等返済とは
返済方法として元利均等返済が一般的であることから、元金均等返済についてはあまりよくわからないという方もいるかも知れません。
元金均等返済とは、借り入れ金額の元金を毎月均等に返済していく方法です。返済初回から完済までに返済する元金の金額は毎回一定で、借入残高に応じた利息の金額が上乗せされる仕組みになっています。
月々の利息分が変化していくことになるので、元金の返済を続けることで返済額は減っていきます。したがって、第一回目となる返済額がもっとも大きくなるのが元金均等返済の特徴です。
元利均等返済のメリットとデメリット
元利均等返済と元金均等返済についでですが、一般的には元利均等返済を選ぶ方が多い状況です。だからと言って、元金均等返済が劣るわけではありません。
それぞれにメリットやデメリットがあり、どちらを選ぶのかは人それぞれになる部分です。メリットやデメリットについて解説します。
元利均等返済のメリット
元利均等返済を選ぶ際のメリットですが、元金と利息を合わせた月々の返済額が一定となることから、無理な返済をする必要がありません。変動金利タイプの適用金利に変化のない場合も同じです。
決まった返済金額が差し引かれ、月々に使える額がどのくらいあるのかという計算もすぐにできますから、長期にわたっての返済計画や毎月の生活設計も立てやすいでしょう。家計の管理があまり得意でないなんて人だと、元利均等返済の方がわかりやすいとも言えます。
また、月々の返済額が徐々に少なくなっていく元金均等返済と比較すると、返済当初の月々の金額を低くおさえることができます。
元利均等返済のデメリット
借り入れした当初は残高が大きいことから、月々の利息がどうしても高めになってしまいます。返済額の半分以上が利息に充当されることになり、元金の返済はなかなか進みません。
元金の返済額が利息分を上回る一般的な時期についてですが、35年返済の場合で25年目を過ぎた頃とされています。
元金の減り方が遅いことによって利息の金額が大きくなり、元金均等返済と比較して総返済額が多くなってしまうこともデメリットとして挙げられます。
ただし、こちらのデメリットについては繰り上げ返済をマメに行うのであれば、最終的に元金均等返済と同じような結果になるかも知れません。
元利均等返済が向いているのはこんな人
たとえば、子どもの教育費などで月々に決まった出費がある場合は、あらかじめ返済額が決まっていればやりくりを上手に行うことができるでしょう。住宅ローンの返済期間は長期にわたるもので、月々の返済を確実に行うことが重要です。
少しでも返済を急ぎたいという気持ちから、返済額の面で無理をしてはいけません。結果として、その後に支払い不可能になってしまうこともあるからです。決まった返済額の元利均等返済であれば、支払いに対する精神的負担や不安も軽減されるはずです。
月々の返済額をおさえることで、貯蓄を増やすこともできます。定期的に繰り上げ返済を行っていきたいという方などには、元利均等返済が向いていると言えるでしょう。
元金均等返済のメリットとデメリット
元金均等返済のメリットとデメリット、向いている人について解説していきます。
元金均等返済のメリット
月々の返済額(元金+利息)は、返済の回数を重ねていくことで少なくなります。また、元利均等返済と比較すると、返済期間が同じ場合は元金均等返済の方が総返済額をおさえることができます。
これは、元金の減り方のスピードが元利均等返済よりも早いことにあり、結果として支払う利息の金額が少なくなるためです。
元金均等返済のデメリット
元金の残高が多いうちは、月々の返済額が大きくなってしまうことです。そのため、返済額の負担が重くなることも考えられます。
その他にも返済負担率(年収に占める年間返済額)の問題があり、場合によっては借り入れをできる金額が少なくなることもあります。
以前は元金均等返済を取り扱っている金融機関が少なく、事前確認が必要でした。そのことからデメリットとして挙げられることもありましたが、最近では多くの金融機関で元金均等返済が採用されています。現状では、デメリットにはならないと言えるでしょう。
元金均等返済が向いているのはこんな人
元金均等返済が向いているのは、現在は月々の支払額を高めに設定しても、大きな負担を感じないという場合が挙げられます。たとえば、子どもがまだ小さいことで、本格的にお金がかかるのはまだ少し先だという場合などです。
また、今は収入が多いけれど将来的に減ってしまう可能性がある場合なども、先を見据えて元金均等返済を検討しても良いでしょう。
20年~ほど先に定年退職の予定があったり、会社の業績があまり良くなかったりする場合。現在は共稼ぎだけれど、先々やめる予定がある場合などです。
元金均等返済で契約しておけば、回数を重ねていくことで元金が減っていき、将来の返済は結果として楽になります。将来的に住宅の買い替えなども検討していて、早めに完済したいという方も元金均等返済が向いていると言えるでしょう。
まとめ
元利金均等返済と元金均等返済の特徴、メリットやデメリットなどについて解説しました。返済方法は契約してしまったら、変更することができません。
選択を失敗しないためには、元利金均等返済と元金均等返済についてしっかりと理解しておくことです。長期的に考えた場合、どちらが家計やライフプランに無理がないのかを見極めることが重要にもなります。
元利均等返済か元金均等返済のどちらを選ぶのかに迷ってしまったら、プロの力を借りてみることも選択肢のひとつです。各金融機関のローン相談を受けたり、不動産会社に行くのも良いでしょう。最近では、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンの診断士が常駐している場合もあります。
毎月の返済プランは、現在の生活や今後のライフプランなどにも影響を与えますので、自分に合った住宅ローンで契約するようにしましょう。