不動産担保ローンは無担保ローンよりも審査難易度が緩やかなのが1つの特徴ですから、借入できる可能性は無担保ローンよりもグンと高くなってきます。
ですが担保さえあれば必ず審査通過できるわけではありません。不動産担保ローンは多くの金融機関で取り扱われていますが、金融機関によって審査難易度が違ってくるため、審査基準にそぐわず審査落ちしてしまったというケースも多く見られます。
審査基準は公表されているわけではないので、その見極めは簡単にできることではありません。審査通過に不安を持つ人にとっては深刻な問題となってくるでしょう。
そこで今回は不動産担保ローン審査に不安がある人に向けて、審査難易度が低く、審査通過しやすい不動産担保ローンの特徴について解説していきます。
不動産担保ローンの審査基準について
担保があるから審査落ちする可能性は低いと思っている人は少なくないでしょうが、これは大きな勘違いです。担保はあくまでも返済不能となった際の最終砦です。不動産担保ローンの返済原資は申込者の収入に頼る事になるので、申込者の返済能力と信用度も合否結果に大きく影響してきます。
よって、審査基準は下記の2つの判断材料となる属性が重要視されます。
- 不動産評価額
- 申込者の返済能力と信用度
不動産担保ローンに限らず、金融機関は確実に完済できると判断できる申込者ほど好条件で貸付を行います。よって好条件の不動産担保ローンを利用するには、上記条件において高い評価を得る必要があります。
そのためには高い審査基準が設定された審査をクリアできるだけの条件が揃っている必要が出てきます。好条件となるほど審査基準は高くなるため、審査難易度も自ずと高くなってくるというわけです。
しかし、各金融機関の審査基準は公表されていないため、その詳細を知ることはできません。となれば審査基準から審査難易度を予測することはできませんが、申込条件から大まかな予測を付けることはできます。
申込条件から見る審査難易度
まずはオリックス銀行の申込条件を見てください。
- 首都圏・近畿圏・名古屋市・福岡市に居住用不動産をご所有し担保提供いただける方で、当社所定の資格・要件を満たす方。
- 当社住宅ローンプラザへご来店可能な方。
- 借入時の年齢が満30歳以上60歳未満で、最終返済時80歳未満の方。
- 同一勤務先に3年以上勤務されている方(自営業の場合は、営業開始後3年以上経過されている方)。
- 前年度の税込み年収が500万円以上(自営業の方は所得)で、返済期間中、安定した収入が見込める方。
- 保証会社の保証が受けられる方。
- 団体信用生命保険にご加入いただける方。
- 年収負担率は35%以内
※オリックス銀行HPより参照
もちろん担保となる不動産があることが前提となりますが、申込者に対しても実に多くの条件が詳細に定められていることがわかります。それでは次はノンバンクからアイフルとつばさコーポレーションの申込条件を見てみましょう。
アイフル
- 融資対象者 法人、または個人事業主
つばさコーポレーション
- 融資対象者 個人の方、個人事業主の方、法人の方
※各社HPより参照
驚く程、申込条件に違いがあることが一目瞭然で見て取れます。この点を比較すれば両社の審査基準に大きな開きがあることは明白です。申込条件が多いオリックス銀行よりも、驚くほど少ないアイフルとつばさコーポレーションの方が審査に通りやすくなるのは当然の話です。
またこの申込条件に関しては他の銀行とノンバンクを見ても同様の傾向が見られます。となれば銀行とノンバンクとでは確実にノンバンクの方が審査は甘く通りやすいのは考えるまでもありませんよね。
借入条件から見る審査難易度
また借入条件から審査難易度を予測することもできます。先に言ったように好条件の不動産担保ローンほど高評価の審査結果が求められるため、条件がいいところほど審査難易度が高いと判断できるからです。
それではどのポイントを見れば審査難易度の甘いと予測できるのかを解説していきます。
担保となる評価額の決め方
不動産担保ローンの貸付は担保となる不動産評価額が大きく影響してきます。貸付金額は担保評価額内に抑えられるのが一般的ですから、金融機関としても正確な不動産評価額を知りたいと考えるのは当然のことでしょう。
しかし、この不動産評価額は金融機関によって違っており、まず同額の評価が行われることはありません。これは評価をする不動産鑑定士の判断や裁量が影響してくる上、下記のように鑑定方法は1つでないことが関係しています。
- 原価方式
- 比較方式
- 収益方式
また上記の鑑定方式も下記のように分類されるため、利用する鑑定方式による金額差がどうしても出てしまうというわけです。
- 原価方式 ⇒ 原価法、積算法
- 比較方式 ⇒ 取引事例比較法、賃貸事例比較法
- 収益方式 ⇒ 収益還元法、収益分析法
そしてこの鑑定で注目してもらいたいのが鑑定にかかる日数です。一般的に不動産鑑定士による鑑定は最短でも1週間の日数が必要だと言われています。ですがノンバンクでは即日融資を謳っているところが多ことからも、この点には矛盾が生じてしまいます。
不動産評価額は用いる鑑定方法によってその精度が違ってきます。当然のことながら精度の高い鑑定結果を求めるのであれば、その分、鑑定結果が出るまでには多くの時間が必要となってくるというわけです。
その点において過去の取引事例を収集し、価格を求める比較方式ならば短時間で鑑定結果を求めることができるため、鑑定結果の精度は低くなるデメリットは生じますが、時間短縮できるので即日融資にも対応できるでしょう。
ここで注目してもらいたいのが鑑定結果の精度です。精度の低い鑑定結果から貸付額を決定するという姿勢は明らかに審査難易度の低さを物語っています。融資スピードを求めれば鑑定結果の精度は確実に低くなってきます。鑑定方法については確認のしようがありませんが、審査スピードが早いところほど審査難易度が低いのは明らかです。
銀行、ノンバンクにかかわらず、融資実行までのスピードが早いところほど審査難易度は低いと言えるでしょう。
設定金利
貸付金利が高いほど金融機関が得る利息は高くなるため、できれば金利はできるだけ高く設定したいのが本音でしょう。しかし、金利は申込者が一番気にするところですから、金融機関はできるだけ低金利設定とし、申込者を募ろうとしているのが実情です。
しかし、低金利となれば利益は確実に減るため、とりっぱぐれなく確実に完済されることが求められます。俗に言う薄利多売の原則です。確実な完済を求めるなら高い返済能力と信用度が必須となります。
低金利であるほど高い審査基準をクリアすることが求められるため、低金利であるほど審査難易度は確実に高くなってくるというわけです。
借入では金利が最優先事項となりますが、審査通過が気になる人は希望金利よりも高くなっても、審査難易度の低くなる高金利なところへ申し込むのも1つの手です。自分にとってどれくらいが適正金利となるのかは判断の付きにくいところですが、金利が高いところほど審査難易度は確実に低くなってくる原則は覚えておきましょう。
事務手数料
不動産担保ローンは無担保ローンと違い、契約時に事務手数料が発生します。事務手数料は10万円程度、もしくは融資額の0.2%くらいが一般的ですが、融資額の0.5%であったり、手数料が無料であったりと各金融機関によって違ってきます。
ですがこの事務手数料から審査難易度を予測することもできます。高いところほど審査難易度は低いと言われています。事務手数料は利息とは別に得られる収入源の1つですから、不動産担保ローンを取り扱う金融機関にとって重要度の高いものです。
その事務手数料を削っての貸し付けとなるのですから、金融機関としてはとりっぱぐれのない貸し付けでなければなりません。先の金利と同じように薄利多売の原則です。よって、利用者には完済できるだけの高い返済能力と信用度が求められるため、事務手数料が安いほど審査難易度は高くなってきます。
審査に落ちたらどうすればいい?
不動産担保ローンに申し込んだが審査落ちしたという人も少なくありません。しかし、借入申込をしているくらいですから、審査落ちしたからといって諦めるわけにはいかないのが実情でしょう。
ですが一度の審査に落ちたからといって、他の審査も同様の結果となるわけではありません。ここまで解説してきたように各金融機関の審査難易度は違っているからです。好条件で借入できる不動産担保ローンほど審査難易度は高くなります。
そこで借入条件を見直し、先に申し込んだところよりも下記の点で条件が落ちるところへ申し込んでみましょう。
- 融資スピード
- 金利
- 事務手数料
審査落ちしたのが銀行なら、ノンバンクに申し込んでみるのが一番効果的な方法ではありますが、大きなシフトチェンジをする前に、まずは他の銀行で借入条件が落ちるところへ申し込んでみることから始めてください。
いかに好条件で借入できるかが重要ポイントです。審査通過ばかりを気にして一気に条件を下げる必要はありません。この点はよく理解して次の申込先を選ぶようにしましょう。
まとめ
不動産担保ローンは無担保融資と比べれば、下記の点において大きなメリットのある借入手段です。
- 審査難易度
- 金利
無担保ローンよりも確実に借入しやすく、なおかつ低金利の適用が期待できます。しかし、そんな不動産担保ローンでも申込先の審査難易度の違いから、好条件で借入するためにはそれなりの条件が求められます。
好条件借入を望むのは当たり前の話ですが、審査落ちした、審査通過に自信がないという場合には条件を下げて、敢えて審査難易度の低いところを狙ってみることをおすすめします。
何度も言いますが敢えて大幅に条件を下げる必要はありません。今回解説した内容を参考にして、できる限り条件のいい借入を狙ってください。