長年念願だった住宅購入を検討したはいいが、申し込んだ住宅ローン審査に通らず、どうしたらいいか頭を抱えているという人は少なくないでしょう。
住宅ローンは高額借入となるため、他の融資よりもどうしても審査難易度が高くなってしまいます。よって、申込者の条件によっては審査通過が厳しくなってしまうことは珍しい話ではありません。
しかし、一度住宅ローン審査に落ちたからといって諦める必要はありません。住宅ローン審査を通過するためのポイントさえ押さえておけば審査通過は不可能ではないからです。
そこで今回は住宅ローン審査に落ちた場合、どう対応すればいいのか、そのポイントについて解説します。
審査に落ちた場合の対応方法
下記のように住宅ローンを販売している金融機関は様々なところがあり、借入条件がいいところほど審査難易度は厳しくなってきます。
- ネット銀行
- メガバンク
- 地方銀行(第一地銀、第二地銀)
- 信用金庫
- 労働金庫
- 農協、漁協
- ノンバンク
よって、一度住宅ローン審査に落ちたからといって、他の金融機関の住宅ローン審査も落ちてしまうというわけではありません。できれば借入条件のいいところで契約したいと願う気持ちはわかりますが、条件が多少悪くともほかの金融機関に申し込みしてみるのも1つの手でしょう。
また、住宅ローン審査においては審査NGとなる決定的な条件が存在するので、申込者がその条件をクリアしていないではどの金融機関に申し込んだとしても審査通過はありえないでしょう。
それではこれらポイントについて解説していくことにします。これらポイントに気をつけるだけで住宅ローン審査に通る確率はグンと上がってくるので、住宅ローン審査に落ちてしまったという人はよく参考にしてみてください。
他の金融機関に申し込みをする
先程言ったように借入条件のいい金融機関ほど審査難易度は厳しくなってきます。申し込むならば借入条件のいいところと考えるのは当然の話ですが、もし申込先の審査に通らなかった場合は多少借入条件が悪いとしても審査難易度が低い金融機関へ申し込みしてみるのもおすすめの手です。
先程紹介した住宅ローンを扱う金融機関の審査難易度の高い順は下記のとおりです。
- ネット銀行
- メガバンク
- 地方銀行(第一地銀、第二地銀)
- 信用金庫
- ノンバンク
労働金庫や農協、漁協は会員であれば審査難易度は低くなりますが、一般の申し込みでは信用金庫よりも審査難易度は高くなってしまいます。よって、一般の人が申し込むのであれば審査難易度は上記の通りとなります。
ネット銀行に申し込んだが審査落ちしたという場合ならば、メガバンク以降の金融機関に申し込んでみるといった具合で、新亜難易度が低いところに申し込んでみるといいでしょう。
フラット35に申し込んでみる
近年、住宅購入者の関心を集めているフラット35は民間銀行と住宅金融支援機構がコラボした住宅ローン商品で、審査難易度が緩やかなことで多くの利用者を生み出しています。
住宅金融支援機構は国土交通省と財務省が管轄する独立行政法人です。第三セクターという位置づけですが、国が住宅購入を手助けしてくれていると考えればいいでしょう。
フラット35は住宅金融支援機構が契約で担保となった住宅債権を民間銀行から買い取るため、民間銀行は貸倒を心配することなく住宅ローン融資が行えます。住宅金融支援機構の審査さえ通過すれば民間銀行は住宅債権の買取という保証が受けられるため、民間銀行単独の住宅ローンでは審査通過が厳しい案件でも審査通過となる可能性が高くなるというわけです。
もちろん審査は両機関によって行われますが、民間銀行の審査ではNGとなる下記のような条件でも審査に影響がないため、民間銀行単独の住宅ローンよりも確実に審査通過率が上がってきます。
- 個人事業主や契約社員でも借入可能
- 勤続年数が1年未満でも借入可能
- 保証料が不要(保証会社の保証が必要ない)
- 団体信用生命保険への加入が任意
民間銀行の住宅ローン審査に落ちて再申込みを検討するならば、次はフラット35に申し込んでみるという方法もありでしょう。
金利が高い住宅ローンを選ぶ
住宅ローンは高額借入となるため金利が0.01%違うだけでも、返済総額には大きな違いが出てきます。よって、できるだけ低金利のところからと考えるのが普通ですが、金利が低くなるほど審査難易度は確実に高くなってきます。
分かりやすく銀行と消費者金融を例に挙げて解説してみましょう。銀行と消費者金融とでは圧倒的に銀行の方が金利の低いのは周知のことですが、借入しやすいのは圧倒的に消費者金融の方になってきます。
これは完済できる申込者だけを限定して貸し付けて、低金利でも確実に元金と利息を回収しようという銀行と、顧客の維持拡大のため多少怪しい申込者にも貸し付けるが、貸倒となった時のために高金利による利息利益で穴埋めをしようと考えている消費者金融との審査傾向の違いが影響しています。
返済能力と信用度が高ければ低金利でも確実に利息確保ができますが、そうでない場合には金利を高くしてリスク対策を行っておかなければ貸倒となった際の損失が補填できないというわけです。
金融機関はこういった考えのもと貸し付けを行うため、低金利な金利を提示するところほど、申込者に高い審査基準が求められ、自ずと審査難易度が高くなってしまいます。
これは住宅ローンも同様です。低金利を狙った申し込みをするのは当然のことですが、審査落ちした場合には、敢えて金利の高い住宅ローンに申し込んでみるのも審査通過率を上げる1つの手段となってくるでしょう。
返済負担率や返済期間を見直す
住宅ローン審査に落ちる最大の原因として考えられるのが返済能力です。返済能力とは住宅ローンを完済できるだけの返済原資があるか、つまりは年収を得ているかどうかの判断基準です。
住宅ローンに限った話ではありませんが、収入に見合わない借り入れはどうしても返済不能となるリスクが高くなってきます。よって、住宅ローン完済に見合う返済能力がないと判断されれば、審査を通過することはないでしょう。
そこで審査通過率を上げるために注意してもらいたいのが下記の2点です。
- 返済負担率
- 返済期間
これら2点を見直せば仮に現状では審査通過が厳しくても、状況回復に努めることで最短での審査通過も夢ではありません。
返済負担率
返済負担率とは年収に占める年間の住宅ローン返済総額の割合を示す数値で、下記の計算式によって求められます。
年間返済総額÷額面年収×100
先程紹介したフラット35ではこの年間負担率が明確に申込条件として提示されており、下記のように規定されています。
- 年収400万円未満 30%
- 年収400万円以上 35%
審査基準が緩やかなフラット35では上記のような返済負担率となっていますが、民間銀行における一般的な返済負担率は20%から25%が理想とされており、これを越えると審査は厳しくなっているのが実情です。
民間銀行が審査基準とする返済負担率には各行で違いがあり、フラット35のように明確に提示されているわけではありませんが、審査落ちした場合には自分の返済負担率がどうなっているのかを確認してみましょう。
ただし計算時の年間返済額には住宅ローンだけでなく、下記のような既存の借入も含まれることになります。
- 自動車ローン
- 教育ローン
- カードローン
- クレジットカードでのキャッシング
- クレジットカードでの商品分割払いやリボ払い購入
既存借り入れが多い人はまずはその返済を進めて、返済負担率を下げるよう心がけてください。
返済期間
現在の住宅ローンは最長35年での返済ができますが、中には将来的な負担を減らすために返済期間を短く設定する人もいます。
将来的に必要となる教育費等の出費を考えれば理想的な返済方法となるのですが、返済期間を短くすれば、それだけ毎月の返済額は高額なものとなってしまいます。この毎月の返済額が先程解説した返済負担率に影響してくるケースが考えられます。
できるだけ短期間で完済したい、独り身の今ならば十分返済できる額であると考えても、審査時には返済負担率が重要視されます。まずは金融機関が安心できる返済額を設定し、それに見合った返済期間を検討するようにしましょう。
個人信用情報を確認する
住宅ローン審査で必ず確認されるのが申込者の個人信用情報です。個人信用情報にはこれまでの金融機関との契約情報が記載されており、下記のような情報が確認できます。
- 借入申込
- 借入契約
- 借入件数
- 借入総額
- 返済状況
これら情報に問題ありとなれば、ほかの審査基準をパスしていたとしても審査を通過することはありません。住宅ローン審査に落ちた理由が全くわからないという人は少なくありませんが、その原因が個人信用情報にあったというケースも多々見られます。
この個人信用情報で審査NGとなる最大の原因がブラックリストとも呼ばれる金融事故情報です。金融事故情報があれば住宅ローンを通過することはまずありえないので、心当たりがある人はこの情報が抹消されるまでは申し込みを控えるしかないでしょう。
ブラックリストに載っている場合の対応方法
ブラックリストと呼ばれる主な情報は下記のとおりです。
- 延滞
- 代位弁済
- 強制退会
- 債務整理
ブラックリストに当たる行為は金融機関が審査時に一番重んじる返済能力と信用度が全くないと判断されるため、該当する人は住宅ローンに申し込んでも徒労に終わるだけというわけです。
しかし、これら情報は未来永劫ずっと保管されるわけではありません。債務整理の場合は5年もしくは10年、それ以外は5年で情報が抹消されます。抹消後の申し込みであればこれら情報による審査への影響はなくなるので、住宅ローンに申し込むならばこのタイミングとなってくるでしょう。
ですが本当に情報が抹消されているのかは信用情報機関から通知があるわけではないため確認のしようがありません。ブラックリスト入りした人が住宅ローンに申し込む際には、確実に抹消されているかどうかを確認することをおすすめします。
現在日本では下記3つの信用情報機関があり、金融機関はいづれかに加盟して個人信用情報を共有しています。
- 日本信用情報機構(JICC) 主な会員:消費者金融、クレジットカード会社
- シー・アイ・シー(CIC) 主な会員:クレジットカード会社、消費者金融
- 全国銀行個人信用センター(KSC) 主な会員:銀行、信用金庫
上記のように各信用情報機関に加盟する金融機関には特徴があり、複数へ加盟している金融機関も多く見られます。借入やローンを組むと契約先が加盟している信用情報機関に個人信用情報が記録されるので、過去に契約した金融機関が加盟している信用情報機関に情報開示を行えば、自分の個人信用情報を確認することができます。
そこでブラックリストに該当する情報が本当に抹消されているかを確認してみましょう。それでは各信用情報機関の開示手続きの方法を簡単に紹介します。気になる人は開示手続きの参考にしてください。
日本信用情報機構(JICC)での開示手続き
日本信用情報機構(JICC)の開示手続きは下記の3つの申込方法があります。
- スマートフォンからの申し込み
- 郵送による申し込み
- 窓口での申し込み
この中でも最もおすすめなのがスマートフォンからの申し込みです。HPにあるQRコードからアプリをダウンロードし、後は指示とおり進めていけば完了です。手続き完了後に開示結果が簡易書留で郵送されます。
※詳しくはHPから:https://www.jicc.co.jp/kaiji/
シー・アイ・シー(CIC)での開示手続き
シー・アイ・シー(CIC)の開示手続きは下記の4つの申込方法があります。
- パソコンからの申し込み
- スマートフォンからの申し込み
- 郵送による申し込み
- 窓口での申し込み
シー・アイ・シー(CIC)もパソコンもしくはスマートフォンからの申し込みがおすすめです。しかもシー・アイ・シー(CIC)の場合は手続きが完了すれば即時に開示情報が確認できる点は見逃せません。
他の2機関はどの申込方法を選択しても、開示情報は郵送となるため即時確認はできないので、一番使い勝手のいい開示手続き方法と言えるでしょう。
※詳しくはHPから:https://www.cic.co.jp/mydata/index.html
全国銀行個人信用センター(KSC)での開示手続き
全国銀行個人信用センター(KSC)開示手続きは郵送による申し込みのみです。他の2機関のように複数の方法が設けられていないので注意しましょう。
下記3点を全国銀行個人信用情報センターへ郵送すれば、通常1週間から10日ほどで開示書類が本人限定受取郵便または簡易書留で郵送されてきます。
- 登録情報開示申込書(HPよりダウンロードまたはコンビニプリントから)
- 1,000円の定額小為替証書(手数料)
- 本人確認書
※詳しくはHPから:https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/
勤続年数が経ってから申し込む
住宅ローンの申込条件には勤続年数が規定されていることがほとんどです。これは再三話に出てきた審査に最も重要視するの返済能力と信用度が関係しています。
勤続年数が長ければ長いほど退職や転職する可能性が低いことから、収入が途絶えたり、減収することがありません。よって、勤続年数が長いほど安定した収入が継続して得られていると判断され、返済能力と信用度が高く評価されます。特に住宅ローンは何十年という長期返済となるため、安定した収入が継続して得られるかが重要なポイントとなってきます。
高額で安定した収入が得られる大手企業に就職していたとしても、その勤続年数が半年など極端に短ければ安定した収入が継続して得られるかどうかの判断はつきません。こういった理由から住宅ローンの申込条件に勤続年数が加えられているというわけです。
求められる勤続年数は金融機関によって違っていますが、平成27年度に国土交通省が金融機関に行ったアンケート調査では下記のような結果となっています。
1位 | 1年以上:51.1% |
---|---|
2位 | 3年以上:28.2% |
3位 | その他:11.7% |
4位 | 2年以上:9.0% |
基本的には1年未満の勤続年数では申込条件をクリアすることはできないでしょう。申込時には求められる勤続年数が何年であるかを確認し、足りない場合にはクリアしてから申し込むか、他の条件に合った金融機関に申し込むようにしましょう。
まとめ
住宅ローン審査は高額借入となるため、どの金融機関に申し込んだとしてもカードローン審査のように審査基準は低くありません。条件をクリアすることができず、審査落ちとなることも少なくないでしょう。
しかし、審査に落ちたとしても、その理由さえわかれば今回解説したポイントを参考にすれば問題解決できる可能性は十分にあります。審査落ちしたからといっても、他の住宅ローンも同様の結果となるわけではありません。
そのためにはまず審査落ちの原因を探ることが重要です。しっかりと原因を探り、審査通過できるよう問題解決に取り組んでみましょう。
住宅ローンのおすすめの銀行
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