銀行やノンバンクで不動産担保ローンを借りるなら?

融資を受けたいけれど融資審査の条件が厳しく審査落ちした、融資実行までの時間が長いため間に合わないなど、資金繰りに頭を悩ます経営者は少なくないでしょう。

そんな時におすすめなのが不動産担保ローンです。無担保ローンと違って担保があるため、通常融資よりも高い融資率で、迅速融資を受けることもできます。

しかし、不動産担保ローンは銀行だけでなくノンバンクでも扱われているので、どちらを利用すればいいのか判断に迷うところです。

そこで今回は両者のメリット・デメリットを見ていきながら、状況に合わせた選択ポイントを解説していくことにします。

銀行で不動産担保ローンを借りる

不動産担保ローンは担保を出すことで、無担保融資よりも好条件での借入ができますが、その条件に関しては銀行とノンバンクとでは大きく違ってきます。よって、利用時には各者にどのようなメリット・デメリットがあるのかをよく理解した上で、一番自分にあったメリットの高い借入となる契約となることを最優先に考える必要があります。

それでは銀行のメリット・デメリットから見ていくことにしましょう。

銀行のメリット

借入の際に誰もがまず考えるのが金利です。できるだけ低金利で借入したいという考えが前提となるため、ノンバンクよりも低金利な銀行がまず借入対象となってくるでしょう。

銀行の不動産担保ローンのメリットはこの低金利につきます。通常融資と比較すれば不動産担保ローン自体のメリットには下記のようなものが挙げられますが、これら条件は後ほど解説するノンバンクの方が優れています。よって、銀行の不動産担保ローンのメリットは低金利の一点に尽きるでしょう。

  • 通低金利
  • 高額借入も可能
  • 融資スピードが速い
  • 審査通過率が高い

特に銀行は下記のようにノンバンクと比較すると上限金利が下記のように低いことから、借入金額の大小に関係なく確実に低金利融資が受けられます。

銀行
  • 東京スター銀行 0.90%~8.40%
  • 楽天銀行 3.01%~9.61%
  • オリックス銀行 3.68%~6.98%
ノンバンク
  • ビジネクスト 5.0%~15.0%
  • 日本保証 5.0%~18.0%
  • つばさコーポレーション 3.8%~7.8%

※2018年7月現在

中にはつばさコーポレーションのように銀行並みのノンバンクもありますが、有担保ローンなのにカードローン並みの高金利となる上限金利が設定されているのが一般的です。闇雲に選定先からノンバンクを削除してしまう必要はありませんが、基本的には金利メリットを生かした借入を望むのであれば銀行の方が確率は高くなってくるでしょう。

銀行のデメリット

銀行は低金利というメリットの反面、ノンバンクと比べれば下記のように複数のデメリットが見られます。これらは低金利以前に借入目的にそぐわない原因ともなりうるので、よく頭に入れておく必要があります。

  • 担保条件が厳しい
  • 融資実行に時間がかかる
  • 融資額が少ない

これではこれらデメリットについて見ていくことにしましょう。

担保条件が厳しい

不動産担保ローンは担保評価額に応じた貸付となりますが、ここで重要になるのが抵当権です。抵当権とは返済不能となった場合、担保となる不動産売却後に債権回収できる権利のことを指します。

この抵当権は1社に限ったものではなく、抵当権が付いていても貸付に見合うだけの価値があると判断されれば、何社でも抵当権を付けることができます。しかし、その抵当権は付けた順番に優先権が認められており、第一抵当権を持つところから優先的に債務回収経理を有します。

ここで銀行で問題となってくるのが抵当権順位です。銀行の不動産担保ローンでは第一抵当権が付けられることを条件としているところが大半です。抵当権を付けられるだけの価値が残っていたとしても、すでに抵当権が付いた不動産を担保にすることはできません。

これは利用者が大きく限定されることになるため、申込者にとってデメリットとなってくるケースも少なくないでしょう。

融資実行に時間がかかる

通常の融資よりは融資実行スピードは早くなりますが、それでもノンバンクと比べれば銀行の融資スピードは決して優れているとは言えません。これは審査難易度が大きく関係しています。

銀行とノンバンクの融資難易度に差があるのは周知の話ですが、この融資難易度が影響して銀行では厳しい審査が行われるため、融資実行までの時間が長くなるというわけです。

ネット銀行には最短即日とか2、3営業日というスピード融資を掲げているところも見られますが、一般的には3週間から1ヶ月程度が目安となってきます。即日や最短3日といったカードローン並みのスピード融資のノンバンクには対抗できないのが実情でしょう。

融資額が少ない

借入上限額ならば銀行の方が有利だろうと思っている人は少なくないでしょう。しかし、驚きの事実ではありますが、上限額は銀行の方が低いのが実情です。

近年は下記のように億単位での借入ができる銀行も増えてきましたが、総合的に見れば銀行の方がノンバンクよりも上限額設定は低い傾向が見られます。

  • 東京スター銀行 0.90%~8.40% 1億円
  • オリックス銀行 3.68%~6.98% 2億円

※2018年7月現在

3千万円の楽天銀行のように1億円に満たないところが多く見られる上、ノンバンクのように最大10億円といった高額貸付を行うところは見られません。借入額は担保評価額に準じるため、10億円もの借入ができるケースは限られてきます。

しかし、希望額に満たない貸付額では話になりません。銀行を利用する際にはこの上限額設定が重要となってくるケースも出てくるでしょう。

ノンバンクで不動産担保ローンを借りる

ここまで話したように金利条件を除けば、不動産担保ローンは銀行よりもノンバンクの方が多くのメリットが見受けられます。金融機関からの借入時にはまずは金利面が一番気になるところですが、借入時の諸条件によっては金利以外の条件が最重要事項となるケースも出てきます。

デメリットはさる事ながら、銀行に勝る条件にはどのようなものがあるのかについては、しっかりと押さえておくことをおすすめします。

ノンバンクのメリット

銀行と比較したノンバンクの主なメリットは下記のとおりです。

  • 審査難易度が低い
  • 融資スピードが速い
  • 借入上限額が高い

それではこれらメリットについて見ていくことにしましょう。

審査難易度が低い

審査難易度を予測する際の1つの判断材料が申込条件です。申込条件となる条項が多ければ多いほど審査難易度は高くなり、審査通過率は低くなってきます。

下記は不動産担保ローンを得意商品とする東京スター銀行の申込条件です。

  • 年収200万円以上
  • 申込時年齢が満20歳以上~69歳以下(完済時年齢が84歳以下)
  • 日本国籍または外国籍で永住権をもっている
  • 所定の審査基準を満たしている

上記のように銀行の不動産担保ローンは、下記のようないくつもの申込条件が定められているのが一般的です。

  • 年収
  • 年齢
  • 国籍
  • 勤続年数
  • 指定エリアの不動産
  • 第一抵当権の設定が可能な不動産

しかし、これに対してノンバンクのつばさコーポレーションの場合は、下記のように申込条件の括りがかなり緩やかです。

  • 個人の方
  • 個人事業主の方
  • 法人の方
  • 第二抵当権以上の設定が可能な不動産

これら申込条件を比較すれば確実にノンバンクの方が申込者を広く募っていることは明白です。銀行では申込不可能な人でも、融資対象として受け入れていることからも、銀行よりも確実に融資難易度が低いことが伺えます。

銀行審査に落ちたという人でも、十分に審査通過できる可能性はあると言えるでしょう。

融資スピードが早い

ノンバンクの不動産担保ローンの一番の特徴は融資スピードの早さにあります。銀行ならば3週間から1ヶ月が目安となりますが、ノンバンクならば即日融資、もしくは数日というのが一般的です。

実際に即日融資を掲げているノンバンクを挙げてみましょう。

  • 総合マネージメントサービス 最短即日
  • ユニーファイナンス 最短即日
  • 三鷹産業 最短即日
  • エスジーファイナンス 即日融資
  • トラストホールディングス 即日融資

※2018年7月現在

社名に関しては聞きなれないところばかりですが、いかに即日融資を謳っているところが多いか分かってもらえるでしょう。審査内容によっては即日融資とならないケースは出てくるでしょうが、可能性の面からすれば融資スピードの早さは確実にノンバンクの方に軍配が上がります。

融資スピードにこだわる場合には、大きなメリットとなってくるでしょう。

借入上限額が高い

ノンバンクの不動産担保ローンの特徴の1つであり、メリットでもあるのが借入限度額の高さです。近年は1億円を超える上限額を設けている銀行も多くなりましたが、それでも億単位の借入をしたいのであればノンバンクの方が広い選択肢が持てるでしょう。

  • 日本保証 最大10億円
  • 三鷹産業 最大1億円
  • SBIエステートファイナンス 最大5億円
  • トラストホールディングス 最大10億円

※2018年7月現在

借入額は担保となる不動産評価額が影響するため、高額借入をする際にはそれ相応の不動産担保が必要になってきますが、評価額に対する融資可能率にも両者には開きが見られます。

銀行の場合には融資可能率は担保不動産の評価額80%程が上限となってきますが、ノンバンクの場合にはそれ以上の融資可能率が望める上、不動産担保ローンを専門に扱うところならば「100%+α」が期待できるところもあります。

できるだけ借入額を大きくしたい、高額な借入が必要だという人には大きなメリットとなってくるでしょう。

ノンバンクのデメリット

ノンバンクの不動産担保ローンには銀行にないメリットが多く見られますが、最大かつ唯一のデメリットとなってくるのが再三話に出てきた高金利です。先程銀行のメリットでも解説したように金利には下記のように大きな開きが見られます。

銀行
  • 東京スター銀行 0.90%~8.40%
  • 楽天銀行 3.01%~9.61%
  • オリックス銀行 3.68%~6.98%
ノンバンク
  • ビジネクスト 5.0%~15.0%
  • 日本保証 5.0%~18.0%
  • つばさコーポレーション 3.8%~7.8%

※2018年7月現在

上限金利もさる事ながら下限金利にも大きな隔たりがある点は要注意です。ノンバンクは何億円もの借入ができますが、適用金利となる下限金利が上記のように高いことから、高額借入は可能だが、支払う利息も高額となる無視することのできない大きなデメリットが生じます。

ノンバンクからの借入は確実に高金利となる点をしっかりと頭に入れておきましょう。

まとめ

ここまで解説してきたように銀行とノンバンクの不動産担保ローンには、それぞれ対照的となるメリット・デメリットが存在します。借入するならまずは金利が重要になってきますが、金利ばかりを気にしていても目的に合った借入できなければ話になりません。

よって、申込者の条件や目的に合わせた借入先選びが必要となってくるでしょう。そこで選考時に気にかけてもらいたいのが下記のポイントです。

  • 金利
  • 融資スピード
  • 審査難易度
  • 借入上限額

どの点に重きを置いて借入したいのかによって、銀行とノンバンクのどちらがいいか、その判断基準とすることができるでしょう。特に最初に決定してもらいたいのが利子を最優先の条件とするかしないかです。

これによってまずは銀行とノンバンク、どちらに申し込むかの選別が可能です。今回解説した内容を参考にして、目的に合った借入ができるよう借入先を選考するようにしてください。