住宅ローンを申し込む際には、あらかじめ銀行ごとの違いや特色を把握しておくとスムーズに比較できます。そこで、今回は新生銀行の住宅ローンについて解説します。
新生銀行の住宅ローンは独自性が強いシステムになっており、事前にしっかりと内容を把握しておくことが大切です。特に、他の銀行の住宅ローンと比較する際には、メリットとデメリットの双方に目を向けてみる必要があります。
審査に関する評判や住宅ローンを利用した人の口コミもまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
新生銀行について
新生銀行は日本長期信用銀行から2000年に商号変更して生まれた銀行です。旧日本長期信用銀行時代は経営破綻や国有化などを経ていますが、現在は企業再編が行われ東証一部再上場も果たしています。
新生銀行の特徴として挙げられるのが、ネットバンクとして柔軟に使いこなせるサービスの数々です。
代表的なものとしては、他行宛て振込手数料無料サービスがあります。1ヶ月の無料振込回数は条件により異なり、1~10回に分かれています。月間10回の無料振込回数の条件を満たすのは少し厳しいかもしれませんが、最低でも月間1回は無料振込サービスが受けられるのは大きなメリットと言えるでしょう。
また、ATM手数料が無料なのも、新生銀行の特徴のひとつです。24時間365日無料となっているため、使い勝手の良さは抜群です。さらに、コンビニATMを使っても手数料無料となっています。
この他にも、Tポイントプログラムとの連携サービスもあります。新生銀行の使用状況に応じて、ポイントが付与されますので日頃Tポイントを利用している人はチェックしておくと良いでしょう。
住宅ローンの特徴
新生銀行の住宅ローンは、他の銀行と比べると独自色が強くなっています。そのため、しっかりと特徴を把握してから、申し込みを検討してみましょう。
そこで、新生銀行の住宅ローンの主だった特徴や注目すべきポイントは以下のとおりです。
- 業界最安クラスの事務手数料で初期費用が抑えられる
- 3つの金利タイプから自由に選べる
- ミックスローンで柔軟な返済プランが組める!
- 相談窓口やフリーダイヤルは土日祝日も対応
- 要介護保障がついた団体信用生命保険に加入できる
- 一定期間の返済額を抑えられるコントロール返済が利用できる
業界最安クラスの事務手数料で初期費用が抑えられる
新生銀行の住宅ローンは、融資時に支払う事務取扱手数料が無料になっています。その代わりに、住宅ローン借り入れ時には「安心パック・108,000円」もしくは「安心パックW・162,000円」のいずれかの加入が必要です。つまり、これらの加入費用が住宅ローン申し込み時の初期コストになります。
安心パックと安心パックWの違いは、付帯しているサービス内容です。安心パックには、安心保障付き団体信用生命保険とコントロール返済が含まれています。安心パックWはこれらに加えて、家事代行サービス、ハウスクリーニングサービス、病児保育サービスがセットになっています。
どちらを選ぶかは自由ですが、初期費用をなるべく抑えたいのであれば安心パックで十分です。安心パックWに付いてくるサービスの中には、利用地域や回数が限定されるものもあるため、追加料金を支払うほど使い勝手は良くありません。
新生銀行の住宅ローンは初期費用の手ごろさが特徴にもなっていますので、限られた予算からでも住宅購入を検討できることがメリットと言えるでしょう。
3つの金利タイプから自由に選べる
新生銀行の住宅ローンには「変動金利(半年型)タイプ」「当初固定金利タイプ」「長期固定金利タイプ」の3種類があります。
それぞれ金利の変動に違いがありますので、十分に理解してからプランを決めるようにしましょう。
変動金利(半年型)タイプ
変動金利(半年型)タイプは、金利が最も低く0.5%に設定されています。その後、半年ごとに金利の見直しが行われます。
申し込み年数は5年以上35年以内となっていますが、どちらかというと短期間の借り入れに向いているプランです。金利の変動幅によって返済額が変わってくるため、借り入れ額と返済期間は十分に注意しましょう。
当初固定金利タイプ
当初固定金利タイプは、借り入れ時に選択した年数の間は金利が変動しません。その後、指定期間が過ぎた後に、金利の見直しが行われます。
特徴としては、固定期間が短いほど金利が低くなります。ただし、金利の見直し時には、金利が上がることが一般的です。
固定期間の年数によって返済額も大きく変わってきますので、借り入れの際にはトータルの返済額をしっかり計算してから選択しましょう。
長期固定金利タイプ
長期固定金利タイプは、返済期間中は金利が増減しません。つまり、借り入れ時の金利のまま、完済を目指すことになります。
借り入れ期間は21年以上35年以内で設定します。このうち、21年以上25年以内を返済期間に設定すると、26年以上30年以内または31年以上35年以内のプランと比べてやや金利が低くなります。
このように長期固定金利タイプは、金利の変動による返済額の上昇などの不安が無くなる代わりに、金利が下がった時の恩恵も受けられません。将来的な金利引き下げを予想されるのであれば、長期固定金利タイプが不利になることを覚えておきましょう。
ミックスローンで柔軟な返済プランが組める!
ミックスローンとは、異なる2つの金利タイプを組み合わせて住宅ローンを借り入れることです。
例えば、3,000万円の借り入れ額を、
長期固定金利タイプで1,500万円を30年返済
当初固定金利タイプで1,500万円を20年返済
というように、3,000万円の借り入れを2つの金利タイプに分けることによって、金利変動のリスクを分散できます。
また、繰り上げ返済を活用して当初固定金利タイプの借り入れを先に返済してしまえば、残りは金利が固定された返済のみとなります。そのため、子どもの成長に合わせて住宅ローンの返済をコントロールしたい人にも向いています。
金利変動に備えつつ返済額が上昇してしまうリスクを避けたいのであれば、ミックスローンを視野に入れてみると良いでしょう。
相談窓口やフリーダイヤルは土日祝日も対応
新生銀行では、住宅ローンの相談を随時受け付けています。なかでも、住宅ローン専用のフリーダイヤルは土日祝日も対応していて便利です。営業時間は9時~19時なので、住宅ローンで不明な点があれば電話で相談してみると良いでしょう。
また、しっかり面と向かって話を聞きたい人には、窓口の相談がおすすめです。新生銀行では平日9時~17時までの予約制で、住宅ローンの対面相談を行っています。新生銀行の各店で対面相談は受け付けていますので、住宅ローンについて詳しく知りたい人は活用してみてください。
要介護保障がついた団体信用生命保険に加入できる
新生銀行の住宅ローンには、安心保障付き団体信用生命保険がセットになっています。これは、要介護状態が180日以上継続すると、保険が適用されて住宅ローンが返済できるシステムです。そのため、万が一の交通事故や病気に対する備えになります。
一般的な団体信用生命保険で要介護状態に備えるためには追加料金が必要ですが、新生銀行の住宅ローンは借り入れ時の安心パック加入のみで要介護保障がプラスされます。
新生銀行の住宅ローンでは借り入れ時の安心パック加入は事務手数料代わりになっていますので、実質的には無料で要介護状態に備えられると考えられます。
要介護保障は将来的な不安への備えにもなりますので、新生銀行の住宅ローンにおけるメリットのひとつとも言えるでしょう。
一定期間の返済額を抑えられるコントロール返済が利用できる
新生銀行の住宅ローンには、コントロール返済と呼ばれる返済期間や金額を指定できるシステムが用意されています。これは、繰り上げ返済を行って短縮された返済期間があれば、その分元本の支払いを停止できる仕組みです。
例えば、繰り上げ返済によって5年間の返済期間短縮が行われていると、その後任意のタイミングで元本の返済を5年間休止できます。そのため、子どもの学費がかさむ期間など、住宅ローンの返済額を一時的に圧縮したい時に活用すると良いでしょう。
ただし、コントロール返済を行っても、トータルの返済額は変わりません。元本返済の休止期間は繰り上げ返済によって得られた期間のみですので、金利の変動幅によっては返済額が増えてしまう可能性もあります。
返済額を調整できる便利な仕組みですが、トータルの返済額に影響を及ぼすこともあるので慎重に検討しましょう。
住宅ローンの審査について
住宅ローンの審査基準は銀行によって異なります。そのため、借り入れを申し込む前にしっかりと審査基準について把握しておきましょう。
そこで、新生銀行の住宅ローンの利用条件については以下のとおりです。
- 満20歳以上~65歳未満
- 前年度300万円以上の年収及び所得
- 第一生命保険相互会社の団信加入ができること
- 日本国籍もしくは永住権を持っている
- 正社員・契約社員・自営業者である
- 最低2年以上の勤続年数(個人事業主や経営者は2年以上かつ300万円以上の所得があること)
- 新生銀行の新生総合口座パワーフレックスを開設している
これらの条件を満たすことで、新生銀行の住宅ローンに申し込めます。
他の銀行と比べると雇用形態が正社員や契約社員に限定されていることや、勤続年数が2年以上に指定されているところがポイントです。
ただし、年収300万円以上は他の銀行と比べるとやや低めの水準ですので、総合的に見るとそれほど厳しい審査基準とはならないでしょう。
新生銀行の住宅ローンの審査期間はどれくらい?
住宅ローンは審査期間に日数を要する場合があります。しかし、銀行によって審査日数は異なるので、それぞれの傾向を把握しておくと良いでしょう。
新生銀行の住宅ローンの審査期間については、以下のとおりです。
- 審査の結果まで:7~10日程度
最大の特徴は、新生銀行では他の銀行のように仮審査と本審査に分かれていないことです。つまり、1回の審査に通過すれば、そのまま契約と融資実行まで進めます。
実際に申し込みから融資実行までに掛かる期間は、書類の往復も含めるとおよそ1ヶ月~1ヶ月半ほど必要です。スムーズに住宅の購入を進めたいのであれば、余裕を持ったスケジュールを組んでおくようにしましょう。
審査申し込み時に必要な書類は?
新生銀行の住宅ローンは審査が1回しか行われないため、用意する書類がやや多めです。申し込み時に詳しく説明してありますが、不備が無いようにあらかじめ準備しておきましょう。
そこで、新生銀行の住宅ローンに必要な書類は以下のとおりです。
本人確認書類
運転免許証、パスポート、健康保険証など
収入を証明する書類
源泉徴収票、住民税課税証明書、住民税課税決定通知書、確定申告書の控え、所得税の納税証明書の5点
物件の審査に必要な書類
重要事項説明書、不動産登記簿謄本または登記簿抄本
その他
すでに他ローンを借り入れている人は返済予定表と返済用口座の通帳(直近3ヶ月の返済状況が分かるもの)
これらを用意して、住宅ローンの審査を受けることになります。書類に不備があると審査が滞ってしまうため、漏れの無いように準備しておいてください。
おすすめな人と注意点
新生銀行の住宅ローンがおすすめな人について解説します。しっかりと特徴を踏まえたうえで申し込めば、最適な住宅ローンの借り入れとなるでしょう。さらに、注意点についてもまとめてみましたので、借り入れを検討している人はチェックしてみてください。
新生銀行がおすすめな人
下記の項目が当てはまる人には、新生銀行の住宅ローンがおすすめです。
自分の希望条件にあてはまっているかどうか確かめてみましょう。
- 事務手数料などの初期費用を抑えて住宅ローンを組みたい人
- 銀行の審査を1度で済ませたい人
- 金利変動に対応できる住宅ローンを借り入れたい人
- 新生銀行のパワーフレックス口座をすでに開設している人
- 店頭で担当者と相談しながら住宅ローンを借りたい人
新生銀行の住宅ローンの注意点
新生銀行の住宅ローンには、いくつか注意点があります。それぞれを把握したうえで、申し込みや借り入れに進むようにしましょう。
まず、新生銀行の変動金利型住宅ローンでは、激変緩和措置が設けられていないことが挙げられます。
一般的な住宅ローンでは激変緩和措置と呼ばれる、急激な金利変動をカバーする対策が備わっています。具体的な内容としては5年間の金利据え置きと、5年後の再計算時に当初の125%以内に返済額が収まる仕組みです。
しかし、新生銀行の変動金利型住宅ローンは半年ごとに返済額が見直され、その際の返済額に上限や下限が設定されていません。そのため、急激な金利変動が起こると、返済額が高騰してしまう可能性があります。
次に、新生銀行の変動金利型住宅ローンは、借り入れ額の元本が500万円未満になると金利優遇が無くなります。つまり、変動金利型住宅ローンでは、完済が近付くにつれて金利負担が大きくなってしまうのです。
また、新生銀行の住宅ローンは専用口座を開設して返済が行われます。この口座はインターネットバンキングになっており、通帳が発行されません。
したがって、繰り上げ返済の手続きや返済状況の確認はネット上から行うことになります。従来の銀行取引とはやや異なるため、インターネットに慣れていない人にとっては、少し複雑な手順に感じるでしょう。
新生銀行の住宅ローンの評判と口コミ
新生銀行で住宅ローンを申し込む前に、実際に利用している人の感想や口コミに目を通しておくと良いでしょう。様々な口コミサイトから情報を集めてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
良い評価の口コミ
●仮審査と本審査に分かれていないのはいいと思う。面倒なやり取りも減るし、申し込みやすさを感じる。
●ネットから申し込めて、あとは書類を送るだけというのが簡単で嬉しい。これからの時代は住宅ローンでもネットだけで完結するようになるかもしれませんね。
●店頭で相談できるのは安心感があって良いと思います。住宅ローンは金額が桁違いですから、慎重に検討できる店頭型の銀行の方が自分には向いていました。
中立的な口コミ
●審査が1回なのはいいけど、審査基準は少し厳しそう。派遣社員はお断りみたいな住宅ローンだから、借りられる人は割と限られるかも。
●初期費用が安いのは本当に画期的だと思います。でも、契約時に必要なお金はあるので、事務手数料が無料という表現はちょっと違う気がします。
●フリーダイヤルで相談できるのは楽だけど、結構混んでるイメージ。全国から電話が掛かってくるから仕方ないのかもしれないが、もう少しスムーズに繋がるようにして欲しい。
低評価の口コミ
●金利タイプの説明が複雑すぎる。一見すると金利が低く見えるけど、半年ごとに見直すからこれからどうなるか分からないし。ある程度金利について詳しくないと、損得勘定が難しい住宅ローンだと思った。
●基本的にはネットで返済していく銀行なので、年配の人には難しく感じるのでは?40代の自分でギリギリ使えるかどうかという感じのローンですね。
●借り入れ時のハードルが低い分、返済していく過程がきつい。特に変動金利型はある程度の知識が求められる。ここの住宅ローンの特徴をきちんと理解できない人は、他の銀行にするべきだと思う。
住宅ローンのおすすめの銀行
SBIマネープラザ(所属銀行:住信SBIネット銀行)
SBIマネープラザは金利が低いにも関わらず、保障が充実しているのが特徴です。一部繰上返済の手数料は何度でも0円。返済額は1円からでOKな点も魅力です。
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万が一に備えて保障を充実させたい人や、住宅ローンの相談を直接窓口で行いたい人におすすめです。