フラット35の審査基準は甘い?厳しい?

フラット35の審査基準に関する話は、住宅ローンを借りる際に気になることです。

フラット35の審査基準が甘いという噂を聞いたことがある人もいると思いますが、実際のところはどうなのでしょうか?

ここでは、フラット35の審査基準について解説していきます。

【目次】フラット35の審査基準は甘い?厳しい?
  1. 利用条件をクリアできれば借りられるフラット35
    1. フラット35の利用条件
    2. 銀行の審査基準との比較
    3. フラット35は融資するのが目的?

利用条件をクリアできれば借りられるフラット35

「利用条件をクリアできればフラット35は借りられる」
確かにフラット35には、このような言葉が当てはまる時期がありました。

そして2012年10月19日に、会計検査院からフラット35の住宅ローンは「審査の甘さ」を指摘されました。

フラット35の利用条件

それでは、審査の甘さにつながることがあるか、あらためてフラット35の利用条件をまとめてみますが、フラット35は一般の銀行と比べても、利用条件で大きく変わるところ、甘さにつながるような特筆すべき点は一切ありません。

申込要件

申込時が満70歳未満。
親子リレー返済の場合は親の年齢が満70歳以上でも可。

資金使途
  • 申込み本人または親族が住む新築住宅の建設・購入資金または中古住宅の購入資金など
  • 要日本国籍/永住許可権
借入対象となる住宅
  • 住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合している住宅
  • 戸建住宅の床面積が70㎡以上
  • 共同住宅の場合は30㎡以上
  • 住宅の建設費または購入価額が1億円以下(消費税込み)
返済負担率

年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下。

融資期間

最長35年

融資額

100万円以上8,000万円以下(1万円単位)とし、且つ建設費または購入価額の9割まで

※1 土地取得費に対する借入れを希望する場合は、その費用を含みます。
※2店舗、事務所等の非住宅部分は借入対象外です。
※3融資率が9割を超える場合は、借入額全体の金利を一定程度高く設定します。

金利

金融機関によって異なります。

返済方法

元利均等毎月払いまたは元金均等毎月払いを選択できます。

担保

借入対象となる住宅およびその敷地に、各金融機関を抵当権者とする第1順位の抵当権を設定します。

保証人

原則不要です。

団体信用生命保険

任意加入。

フラット35は2017年10月から新機構団信に変わり、加入すると団体信用生命保険の種類などに応じて借入金利が変わります。

火災保険

火災保険は時価ではなく新価で契約。

保険期間、火災保険料の払込方法、火災保険金請求権への質権設定の取扱いは金融機関により異なります。

物件検査手数料

物件検査手数料は検査機関または適合証明技術者により異なり、原則申し込み者負担です。

フラット35の繰り上げ返済について

フラット35は1か月前までに返済中の金融機関に申し出ることで、一部または全額、手数料なし(経過利息は掛かります)で繰り上げ返済が利用できます。ただし一部繰り上げ返済の場合は、100万円以上が条件です。

またインターネットで「住・MyNote」を利用している場合は、10万以上から繰り上げ返済が利用でき、こちらも手数料なし(ただし経過利息は掛かります)で使えます。

フラット35の借り換えについて

フラット35は他行からの借り換えはもちろん、機構内での借り換え(フラット35からフラット20など)も自在に行えます。

審査の甘さを指摘され、まず襟を正したのは信用リスクを全面的に負っている住宅金融機構です。

それはフラット35の利用条件からも伺えますが、2013年に終了した金融円滑化法による取り組みについても、フラット35は非常に前向きな姿勢を見せています。

次に銀行の審査基準との比較を見てみましょう。

銀行の審査基準との比較

残念ながら、資料として銀行の審査基準とフラット35との比較データはありませんが、「平成28年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書/国土交通省住宅局」を参考にしたところ、次のようなデータがありましたので、作表したものを掲載しておきます。

スコアリング方式とは申込者のデータにより審査項目(年収、返済負担率等)で点数を付け、その合計点で融資判定をするというものです。金融機関の割合は以下のとおりです。

スコアリング方式を
採用
スコアリング方式を
一部採用
スコアリング方式を
採用していない

平成28年度

16.3% 27.6% 56.1%

平成27年度

15.5% 24.7% 59.7%

平成26年度

14.7% 27.2% 58.1%

平成25年度

13.2% 25% 61.9%

平成24年度

14.1% 24.3% 61.7%

このデータからは、スコアリング方式(年収、返済負担率による融資判定)が金融機関に年々重視されていることが分かります。

次に、融資する際に金融機関(銀行やモーゲージバンク等)が住宅ローンの事前審査で重視している審査項目・基準値をみていきましょう。

平成28年度 平成27年度 平成26年度
完済時年齢 98.80% 99.30% 99.30%
健康状態 97.6% 98.40% 96.30%
借入時年齢 97.60% 97.50% 97.60%
担保評価 97.20% 97.80% 96.30%
勤続年数 97.20% 96.40% 95.90%
年収 94.40% 94.80% 95.60%
連帯保証 93.50% 92.60% 90.30%
金融機関の営業エリア 89.90% 92.40% 91.90%
返済負担率 88.00% 87.40% 96.60%
融資可能額(融資率)1. 購入の場合 81.3% 90.70% 91.60%
雇用形態 78.2% 77.10% 74.90%
融資可能額(融資率)2. 借換えの場合 76.3% 88.40% 91.50%
カードローン等の他の債務の状況や返済履歴 64.80% 77.50% 85.60%
国籍 61.95% 64.90% 63.10%
申込人との取引状況 49.1% 59.50% 64.80%
業種 29.40% 38.40% 42.50%
家族構成 23.10% 29.90% 29.50%
所有資産 20.40% 23.50% 24.40%
雇用先の規模 16.70% 30.10% 32.80%
性別 16.10% 21.10% 19.80%
その他 6.6% 6.60% 10.10%

「完済時年齢」~「連帯保証」(上位)については、9割以上の金融機関が融資を行う審査項目として重視しています。また「雇用形態」を考慮している金融機関の割合は増加傾向にあります。

ただこうしたデータからは、会計検査院からなぜ審査の甘さを指摘されたかのは分かりません。

しかし、当時の独立行政法人住宅金融支援機構が民間金融機関ほどデフォルトリスクに対して真剣に向き合っていなかったことが、会計検査院に審査の甘さを指摘された原因であることは事実のようです。

それにはフラット35が抱える構造的な問題があるようです。

フラット35は融資するのが目的?

独立行政法人はある意味、非常に不完全な立場で存在していると言えます。たとえば独立行政法人は行政から独立していますが、結局は、行政が監督するフラット35は、実質的に国が管理している住宅ローンなのです。

もちろんフラット35は国が金融機関から買取って証券化しますから、貸し倒れを起こすと、そのリスクは国が負わなければいけません。それを民間の金融機関に委託して販売していることから、銀行やモーゲージバンクは一部の信用リスクが高い人にもフラット35を販売していたと言われています。

言い方が悪いですが、フラット35を販売しても民間の銀行は自社の成績にはなりません。しかし販売することで手数料等は稼げます。

もちろんフラット35を販売して貸し倒れが起きても、銀行やモーゲージバンクなどの金融機関は自社の損失にはなりません。銀行は自社のローン案件は回収するのが仕事です。しかしフラット35は、たとえデフォルトに陥っても売った銀行は回収まで責任はありません。

フラット35は審査が甘いと言われ、一部の利用者にも噂が広がったのは、このような構造的な原因があったと言われています。

ただこれだけでは、問題の原因は金融機関側にだけあると思われるでしょうが、そうではありません。もちろん機構側にも問題があります。それは一部の金融機関では、特定の信用情報機関しかチェックしていなかったと報じられているからです。これでは住宅金融機構の管理不足を疑われても仕方ないでしょう。

現在機構のフラット35は、事前審査を金融機関に委ね、正式審査は機構側が受け持つように審査方法を変えています。もう、どの銀行に持っていっても、フラット35だから審査は通ると思われる心配はありません。

「審査が甘い」と言われるのがなぜいけないかと言うと、今後適正なかたちではローンサービスが受けられなくなる可能性があるからです。

適正なかたちでローンサービスが受けられなくなるというのは、金利が非常に高いローンしか提供されず、住宅ローン自体の審査基準が一部のお金持ちにしか通用しない、偏ったものになる可能性があるということです。

今の制度では、属性や信用情報に問題がなければ、ほとんどの方が返済負担率の範囲で住宅ローンを低利で受けられる点を理解して、フラット35の審査を受けましょう。

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