不動産担保ローンと住宅ローンの違いは?

不動産担保ローンと住宅ローンの違いは?

不動産担保ローンと住宅ローンの違いを明確に説明できる方は少ないのではないでしょうか?二つの言葉ともに耳にしたことはあるはずでしょう。しかし、内容が似通っていることもあり、多くは返答に詰まるのではないでしょうか。

一般的にお世話になるのは住宅ローンだと思われますが、お子様の教育費や親の介護などで急に用立てしなくてはならないときには不動産担保ローンが威力を発揮します。今のうちに、この両者の違いと特徴を知っておけば、いざという時にも慌てずにすむでしょう。

【目次】不動産担保ローンと住宅ローンの違いは?
  1. 不動産担保ローンと住宅ローンの違い
    1. 不動産担保ローンとは
    2. 住宅ローンとは
  2. 住宅ローンと不動産担保ローンの違いまとめ

不動産担保ローンと住宅ローンの違い

ここでは不動産担保ローンと住宅ローンの違いを分かりやすく解説していきたいと思いますが基本的な違いは、すでに所有している不動産を担保にしてお金を借りるのが不動産担保ローンで、自分が住宅を取得するためにお金を借りるときに使うのが住宅ローンとなります。

不動産担保ローンとは

あなたが建築後20年の一戸建てに住んでいるとしましょう。35年で住宅ローンを組んだので、まだ15年の返済期間が残っています。この状況でお子さんが大学進学を控えていれば、かなりの出費を覚悟しなくてはならない時期になることが予想されます。

このように物入りな人生の節目では「この家を担保にお金を借りられないものかな?」と考えても不思議ではありません。もちろん借り入れ方法はいろいろあるでしょう。手っ取り早いのは銀行や信販会社のカードローンでしょうし、学資ローンなどのように使い道を限定したローンも存在します。

しかし、数ある選択肢の中でも、不動産担保ローンという商品を選ぶことも一つの手となります。これは文字通り、あなたが所有する不動産を担保としてお金を借りるものです。

中には何件もの住宅や投資用マンションを所有している恵まれた方もいらっしゃるでしょうが、一般的には自分が住んでいる住宅を担保としてお金を借りるケースが圧倒的に多いと思われます。

ただし、信用貸しであるカードローンなどと比べて、担保が存在するのが不動産担保ローンなので借りやすいと思われますが、注意しなくてはならないポイントもいくつかあります。

建物の担保価値と土地の担保価値

新築で購入した時は3000万円した一戸建ても、20年も経過してしまうと上物である建物の価値は基本的に0円になってしまうと考えください。欧米諸国では建築年数が経過している方が高く評価されるケースもありますが、日本はまったく逆の評価をされるので要注意です。

ただし、建物の担保価値が0円であっても。土地の担保価値は取得当時と大きく変わらないことが多いと言えます。ですから、不動産担保ローンを使う時に新築後20年以上を経過していた場合、基本的には土地だけの担保価値で計算されることを念頭に置きましょう。

抵当権の有無

例えばの話ですが、あなたが頭金なしで3000万円のマンションを購入したとしましょう。この仮定の下で、居住後わずか半年で不動産担保ローンを検討し始めた場合、不動産担保ローンを利用することは難しいでしょう。

マンション自体には3000万円の価値があったとしても、3000万円を住宅ローンとして借り入れているので、住んでいるマンションには限度額いっぱいの抵当権が設定されているはずです。ですから、このマンションには担保価値がないことになるのです。しかし、同じマンションを頭金1500万円で購入したとすれば、住宅ローンによる抵当権の設定金額は1500万円となりますので、不動産としての担保価値は存在します。

このように住宅を購入した時の借入金と築年数によって借り入れられる金額が変わってくるのが不動産担保ローンの特徴の一つと言えるでしょう。不動産担保ローンの“担保”の意味するところをご理解いただけたかと思います。担保価値という言葉をお聞きになったことがあるかと思いますが、不動産の価値によって借り入れできる金額に変動が生じるのです。

ただし、大きな特徴と言いますかメリットが一つ。それは、借り入れた資金の使い道を問われないことにあります。車を購入しようが、海外旅行に行こうがかまいません。現金をタンス預金として自宅金庫にしまい込んでも良いのです。

住宅ローンとは

次に住宅ローンに話を移しましょう。

前述の不動産担保ローンは、すでに所有している不動産を担保としてお金を借り入れることを意味しますが、住宅ローンはこれから自分が住むための家を買うために組むローンのことになります。

不動産担保ローンは不動産の価値や残債によって借り入れ金額が変動しますが、住宅ローンはあなたの収入、勤務先、勤続年数などを審査されたうえで融資金額が決まってきます。

こんなところに要注意

大きな会社に10年勤務した35歳のAさんが、脱サラ後に一念発起で起業したとしましょうか。会社は1年目から大きな利益を出して順風満帆な経営内容です。その一方で、小規模な会社に20年にわたってまじめに働いてきた40歳のBさんがいたとします。

この場合ですが、Aさんが住宅ローンを組むのは容易なことではありません。その一方でBさんは比較的ローンの審査が通りやすいと考えられます。ポイントは勤続年数。日本の金融機関はこの勤続年数を重視します。とくに脱サラして独立した場合などは、たとえ事業が好調であっても3年程度を経過しないと渋い顔をされがちなのです。

また、クレジットヒストリーと一般的に言われますが、過去のローン返済状況も住宅ローン審査に影響を及ぼしますし、意外な落とし穴としては携帯電話の支払い状況までもが対象となってきます。最近は携帯電話の支払い遅延が影響するケースが増えているので要注意。ニュースなどでもたまに話題になるので、知っている人も多いでのはないでしょうか。

ただ、金融機関によっても審査基準は違いますし、メガバンクと地方金融機関でも差がかなりあります。実際に住宅ローンを組むときには、住宅会社の営業マンに相談すると、ローンが通りやすい方法や金融機関を教えてくれることが多いでしょう。

住宅ローンと不動産担保ローンの違いまとめ

不動産担保ローンと住宅ローンの違いを解説してきましたが、ここではそれぞれの特徴を箇条書きにまとめてみます。

不動産担保ローンの特徴

  • 現在所有している不動産を担保にしてお金を借りる
  • 抵当権の有無と残債が借入金額に影響する
  • 資金の使い道は自由
  • 融資された現金を手元に保管しても構わない

住宅ローンの特徴

  • これから購入する住宅の資金を借り入れる
  • 借り入れ金額は勤務先、勤続年数、年収などで変わってくる
  • 資金の使い道は該当物件の購入のためのみ
  • 手元に現金を補完することはできない(施工会社に渡る)

不動産担保ローンと住宅ローンの違いは分かりましたか? 前者の不動産担保ローンはすでに不動産を所有している方に関係があるので、やはりそれなりの年齢といいますか年配層に関連性が強いと言えるでしょう。その反対に住宅ローンはこれから不動産を購入しようという層に関連が深いので、やはり若年層にとって身近なものになると思われます。

いずれにしても、住宅や土地を購入するのであれば不動産担保ローンも住宅ローンもお世話になる可能性があるものです。両者の特徴や気を付けなくてはならない点をよく整理して、この2つのローンとうまくお付き合いください。