ダブルフラットの利用条件とメリット、デメリット

住宅ローンでは30年という長期返済を組む人は珍しくありません。何千万円もの借入となるため、毎月の返済額を抑えるためには返済期間が長くなります。

しかし、この長期返済の中で度々問題となってくるのが生活スタイルの変化により、住宅ローンが家計を圧迫することになるケースが少なくない点です。また定年後の返済を抱えるケースも多いので、収入がなくなった際の返済を負担に感じる人も多いことでしょう。

そんな将来的な問題をローン申込時に解決できるのがフラット35のダブルフラットです。フラット35を2つ組み合わせたミックスローンにすることで、これら将来的な返済負担問題を解決できます。

そこで今回はこのダブルフラットについて詳しく解説していきます。メリットだけでなくデメリットもあるので、自分にあったローンかどうかをしっかりと見極めてください。

【目次】ダブルフラットの利用条件とメリット、デメリット
  1. ダブルフラットとは
    1. ダブルフラットの利用条件
    2. 借りる際の手続方法と必要書類
  2. ダブルフラットのメリットとデメリット
    1. ダブルフラットのメリット
    2. ダブルフラットのデメリット
  3. まとめ

ダブルフラットとは

ダブルフラットとは借入期間の異なるフラット35を2つ組み合わせたミックスローンで、下記の組み合わせでローン契約することができます。

  • フラット20 + フラット35
  • フラット35 + フラット35
  • フラット20 + フラット20

フラット20フラット35の返済期間を15年以上から20年以下に短縮したもので、フラット35よりも借入期間が短いことから低金利で借入できます。金利が下がった分、支払利息が減るのもダブルフラットのメリットの一つですが、一番のメリットはフラット35単独よりも、確実に21年以降の返済額が軽減できる点です。

実際にフラット35のホームページにあるシミュレーションを使って、単独ローンとミックスローンの返済経過を見てみましょう。その借入条件は下記のとおりです。

  • 借入金額 3,000万円
  • 金利

    フラット35:1.35%
    フラット20:1.30%

  • 返済方法 元利均等
  • ボーナス払い 0円
  • 借入期間 35年

まずはフラット35単独で借入した場合です。

商品名 フラット35
返済期間 35年
借入額 3,000万円
金利 1.35%
全期間 89,927円
総返済額 3,765万9,981円

これに対してダブルローンで借入した場合は下記のとおりです。

商品名 フラット35 フラット20 合計
返済期間 35年 20年
借入額 2,000万円 1,000万円 3,000万円
金利 1.35% 1.30%
当初10年 59,777円 47,268円 107,045円
11年以降 59,777円 47,268円 107,045円
21年以降 59,777円 59,777円
総返済額 2,510万6,608円 11,361,528円 3,646万8,136円

上記のように総返済総額は約120万円の軽減が実現できる上、21年以降の返済額は単独ローンよりも約3万円の軽減に成功しています。

また、お子さんの教育費がかかるようになる15歳に合わせてフラット20の返済期間を15年に合わせることで、高校入学以降の毎月の返済額を軽減することもできます。

フラット20の返済期間を調整することで、将来的な返済負担を軽減できるのがダブルフラットの最大のメリットです。

ダブルフラットの利用条件

それではダブルフラットの利用条件を見ていきましょう。ダブルフラットといっても要は返済期間の違うフラット35を併用するわけですから、その利用条件は基本的にフラット35と同じです。

その利用条件の詳細は下記のとおりです。

  • 年齢 申込者時の年齢が満70歳未満
  • 申込者 2つの借入申込者が同一であること
  • 借入可能額 100万円以上~8,000万円以下で購入価格以内
  • 借入期間 35年以内で下記どちらかの短い年数

    ①80歳-申込時の年齢(1歳未満切上げ)
    ②35年
    ※いずれかの借入期間が15年未満の場合は対象外

  • 金利

    フラット35:全期間固定金利1.35%~2.010%(融資率9割以下)
    フラット20:全期間固定金利1.30%~1.960%(融資率9割以下)
    ※2018年5月時点

  • 総返済負担率

    ①年収400万円未満:年収の30%以下
    ②年収400万円以上:年収の35%以下

このダブルフラットで注意しなければならないのは団体信用生命保険に加入する場合です。フラット35は加入は任意ですが、加入する場合には2つの借入それぞれ別々に加入する必要があります。加入先は異なっても問題ありませんが、2つの保険料が発生することは覚えておきましょう。

借りる際の手続方法と必要書類

次は借りる際の手続き方法と必要書類について解説します。申し込みを不安に思う人もいるかもしれませんが、その内容は2つのローン申込をする点以外は通常の申し込みとは何ら違いはありません。

借りる際の手続きの流れ

ダブルフラットは取り扱いのある金融機関で申し込めます。しかし、取り扱い金融機関がかなり限られているので注意が必要です。まずは下記URLからお住まいの地域に取扱金融機関があるかを確認してみましょう。

参考:https://www.flat35.com/files/300237112.pdf

また申し込みから融資までの手続きの流れは下記のとおりです。

  1. 金融機関へ同時に2つの借入申込
  2. 団体信用生命保険へ同時に2つの申し込み
  3. 各申し込みの審査結果の通達
  4. 検査機関へ設計検査申込
  5. 検査
  6. 検査合格の通達
  7. 着工
  8. 検査機関へ中間現場検査申込(マンションの場合は不要)
  9. 検査
  10. 検査合格の通達
  11. 竣工
  12. 検査機関へ竣工現場検査申込
  13. 検査
  14. 検査合格の通達
  15. 検査機関から適合証明書の交付
  16. 適合証明書を金融機関へ提出
  17. 金融機関とそれぞれのローンの借入契約締結、および抵当権の設定
  18. 火災保険への加入
  19. 融資実行

ローン申込と団体信用生命保険への加入が2つになるだけで、他はフラット35に単独で申し込むのと同じです。何かあれば申し込みの先金融機関に相談するようにしましょう。

必要書類

ダブルフラットの申し込みで必要になる書類は下記のとおりです。内容はフラット35単独での申し込みと同じです。

  • 借入申込書
  • 既存の住宅所得借入に関する申出書
  • 所得証明書
  • 建設費が確認できる書類
  • 土地の登記事項証明書

借入申込書はそれぞれ必要になりますが、2つの申し込みになるからといって大きく変わる点はありません。しかし、申込先金融機関によって必要書類は異なるので、必ず確認を取るようにしてください。

ダブルフラットのメリットとデメリット

ダブルフラットの大きな特徴については既に話しましたが、ここではさらに掘り下げてそのメリット・デメリットについて解説していきます。当然のことですが2つの申し込みが必要となるので、単独申込にはないデメリットが出てきます。

納得して利用するためにもメリットだけでなく、特にこのデメリットをよく理解するようにしてください。

ダブルフラットのメリット

ダブルフラットのメリットは下記の2つです。

  • 支払利息を軽減できる
  • 将来的な返済負担を軽減できる

メリットについては既に解説しているので重複は避けますが、将来的な返済負担でお子さんの教育費がかかる時期に合わせた返済負担の軽減をシミュレートしたものを紹介しておきましょう。

教育費がかかる時期に合わせた返済負担の軽減

シミュレーションの条件は先程と同じ下記条件で、ローン申込時年齢が30歳でお子さんが生まれたばかりと設定します。

  • 借入金額 3,000万円
  • 金利

    フラット35:1.35%
    フラット20:1.30%

  • 返済方法 元利均等
  • ボーナス払い 0円
  • 借入期間 35年

フラット20の返済期間をお子さんが15歳となる15年に設定し、借入金額を1,000万円とすれば結果は下記のとおりとなります。

商品名 フラット35 フラット20 合計
返済期間 35年 20年
借入額 2,000万円 1,000万円 3,000万円
金利 1.35% 1.30%
当初15年 59,777円 61,178円 120,955円
16年以降 59,777円 59,777円
総返済額 2,510万6,608円 1,101万1,973円 3,611万8,581円

下記のフラット35単独で借入するよりも、確実にその効果が出ているのは一目瞭然です。

商品名 フラット35
返済期間 35年
借入額 3,000万円
金利 1.35%
全期間 89,927円
総返済額 3,765万9,981円

ダブルフラットのデメリット

それで肝心のデメリットについて解説していきます。ダブルフラットのデメリットは下記の2つです。

  • 借入当初の返済額が大きくなる
  • 諸費用が多くなる

それではそれぞれのデメリットをじっくりと見ていきましょう。

借入当初の返済額が大きくなる

先ほどシミュレートしたフラット35単独とダブルフラットは2つのローン支払いとなるため返済期間が短い方が完済するまでは返済額がどうしても大きくなってしまいます。これは先ほどのシミュレーションを見比べるとはっきりしますが、下記のとおり約3万円の差額が出ています。

  • ダブルフラット 毎月の返済額120,955円
  • フラット35単独 毎月の返済額89,927円

これがダブルフラットを利用するかどうかが、一つの判断基準となってきます。この高額となる返済が可能なだけの収入があるのかが決め手となってくるでしょう。

将来的な返済負担を減らすことはできますが、逆にローン開始当初の返済負担は確実に大きくなります。これがダブルフラットの最大の特徴であり、利用できる人を限定してしまう原因ともなってきます。

無理をすれば将来的な返済負担の軽減どころか、返済開始後すぐに返済負担が大きくなってしまいます。利用時にはしっかりと試算して、ローン返済が家計を圧迫する額でないかどうかをよく熟考するようにしましょう。

諸費用が高くなる

ダブルローンでは契約手続きが2つとなることから、いくつかのデメリットが生じます。そのデメリットは契約手続き時に発生する費用への影響です。下記2つの手続きではフラット35単独契約の時よりも費用が高くなってしまいます。

  • 契約書の印紙代
  • 抵当権設定
契約書の印紙代

住宅ローンの契約には税金が発生し、契約書に印紙を貼り付ける形で支払います。税金は購入価格によって区分されており、下記のようになっています。

  • 500万円超~1,000万円以下  1万円
  • 1,000万円超~5,000万円以下 2万円
  • 5,000万円超~1億円以下   6万円

フラット35単独で3,000万円の借入契約の場合には2万円の印紙代ですみますが、フラット35で2,000万円、フラット20で1,000円のダブルローンの場合には計3万円の印紙代となってしまいます。

抵当権設定

住宅ローンを組む際には不動産に金融機関が抵当権を設定するのですが、その際に発生する費用が下記の2つです。

  • 登録免許税
  • 司法書士報酬

登録免許税とは抵当権の設定時に発生する税金で、ローン借入金額の0.4%となります。この税金は契約が2本となっても借入額は同じなので影響はありません。しかし、この抵当権設定を依頼する司法書士の報酬に影響が出てきます。

この抵当権設定の司法書士報酬の一般な相場は8万円くらいと言われていますが、ダブルローンの場合には2つの抵当権設定となるため、基本的にはその倍の金額が発生することになります。8万円ですむところが16万円になるので、出費が増えます。

司法書士報酬は交渉によって減額してもらうこともできるので、交渉だけはしてみることをおすすめします。

まとめ

近年はフラット35のバリエーションが大きくなっていますが、このダブルフラットは基本スペックはそのままで、単に併用できるとしたものです。しかし、将来的な返済負担を軽減したいという人にとっては好条件のフラット35となってくるでしょう。

しかし、返済当初の返済負担が大きくなってしまうので、全ての人におすすめというわけではありません。利用するためには借入当初の返済額が一番の判断基準となってきます。

将来的な返済負担が減らせても、現状の返済負担が大きすぎて家計を圧迫するようでは、安定して返済を続けることは困難になってしまいます。メリットのある借り入れ手段ではありますが、申込時にはよく検討するようにしてください。

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