住宅ローンが支払えない場合の任意売却や競売について

住宅ローンが支払えない場合の任意売却や競売について

念願だったマイホームを手にしたけれど、「毎月の住宅ローンの支払いがキツイ」などと思うこともあるのではないでしょうか。

「会社都合による退職などで収入がなくなってしまった」
「給料カットなどの影響で年収が大幅に下がってしまった」

さまざまな理由で住宅ローンの支払いが困難になる可能性は、いつやってくるかわからないものです。

住宅ローンを払えずに滞納してしまうと一体どうなるのでしょうか。差し押さえなど、何かしらの影響が出てしまうのではと不安になるはずです。

できることなら、家は手放したくないとも思いますよね。そんな最悪のシナリオを迎えないように、ここでは住宅ローンを滞納した場合に起こることについて解説します。

住宅ローンを滞納すると任意売却や競売になる

住宅ローンを滞納した場合、マイホームは任意売却する必要が出てきたり、最悪の場合は競売にかけられてしまいます。まずは、住宅ローンが返済できなくなる原因について見ていきます。

住宅ローンを滞納する原因

住宅ローンを契約するとき、「毎月の支払いが困難になる」と思って利用する方は少ないでしょう。

それでは、住宅ローンの支払いが困難になり、その結果として滞納してしまう理由はどんなことがあるのでしょうか。具体的な例を見ていきたいと思います。

失業によるもの

マイホームを手に入れ、住宅ローンを契約した当初から状況が変わってしまうことも考えられます。

たとえば会社の業績悪化などによる人員整理の対象になった場合です。結果として失業することになった場合、毎月の収入はゼロになり、返済は困難になります。

給与や賞与カットによるもの

毎月どれだけの収入があるかで、住宅ローンの支払金額を検討する方が多いことでしょう。これだけの収入があるから、このくらいは払っていけると思っていても、予想外の事態はいつやってくるかわかりません。

失業は免れたものの、給与や賞与がカットされるなんてこともよく耳にする話です。毎月に使えるお金が限られることによって、住宅ローンの返済も困難になってしまうということもよくあります。

家庭内の事情によるもの

子どもが私立の学校に進学することになったなど。40~50代になると、教育費関係の支払いが大きく増えることも考えられます。そうなると住宅ローンの返済が困難になるのは当然のこととなります。

その他の理由

他にも、離婚による世帯収入の減少や、住宅ローン契約者本人が突然の病気にかかってしまい、仕事ができなくなるなど、理由はさまざまです。

契約時に予測できなかった事態が起きることによって、あっけなく支払えなくなるというケースが多いです。

それでは、実際に住宅ローンを支払えなくなった場合の「任意売却」と、「競売」について詳しく解説していきます。

任意売却とは?

任意売却とは、住宅ローン契約者の意志で売却を行うための方法であり、強制的に売ることになる競売とはまた異なる方法です。

すでに住宅ローンを滞納している場合は、債権者となる借入先の金融機関の合意が必要になりますが、競売よりも高く、相場に近い価格で売れるという特徴があります。

その他にも、急な立ち退きの必要がなく、周囲に気づかれることがないメリットもあります。

任意売却の流れ

  1. 不動産会社に評価・査定を行ってもらい、自宅の売却金額を決定。
  2. 売却活動=内覧や広告による宣伝。
  3. 購入希望者が出たら、売買契約。
  4. 借入先の金融機関(債権者)にて抵当権の抹消(不動産を住宅ローンの担保からはずすこと)
  5. 借入先の金融機関(債権者)住宅ローン残金の支払い。
  6. 所有権の移転後、物件の引き渡し。

簡単な流れになりますが、任意売却を検討するようでしたら、弁護士もしくは任意売却に詳しい不動産会社に相談するのが得策でしょう。

競売とは?

住宅ローンを滞納してしまうことで、債務者がローンを分割にて返済する権利(期限の利益)を失ってしまいます。よって、貸付を行った金融機関(債権者)は、残った住宅ローンの全額の返済を要求することになります。

競売とは、住宅ローンが返済されなくなった際、裁判所に申し立てをおこない、金融機関が担保として設定した不動産を、裁判所に強制的に売却してもらうことをいいます。そして、その売却した代金の中から、債権者は住宅ローンの回収をすることになります。

競売は、一般的な売買とは異なり、国の行う「強制処分」という性質を持ち、売り手の役目は裁判官に書記官、執行官によって行われます。

競売による売却価格は、裁判所に委嘱された不動産鑑定士によって決定されます。そのときに付けられる価格は「最低売却価格」とも言われ、一般の市場価格よりもかなり低い金額となってしまいます。

この価格になってしまうのは、競売という特殊な事情だからなのかもしれません。最終的に安く処分されてしまうため、競売後の借金の残金は、任意売却より増えてしまいます。

滞納した場合の対処方法

ベストな対処法は、滞納しないように対策をするしかありません。もし滞納してしまったら、できるだけ早い段階で金融機関に相談してください。

金融機関側も、任意売却や競売になるより、滞りなく返済してもらいたいと考えているため、どうやって返済をしていくかのシミュレーションも含め、できるかぎりの対応をしてくれると思います。

毎月の返済金額の変更もできるので、これくらいであれば支払える金額を、事前に決めておくとスムーズかもしれません。

「期限の利益の喪失通知」や、「代位弁済通知」などが届いてしまうと、残金を一括で支払う必要があります。その通知がくる前であれば、避けることができる可能性もあるので、早めに行動するようにしてください。

また、任意売却や競売になる前に、住宅を売却してしまうのもひとつの方法かもしれません。

もし売却を考える場合は、詳しい手順や注意点について、姉妹サイトの「マンション売却の達人」で解説していますので参考にして下さい。

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自己破産したらどうなる?

最近は耳にする機会も多い「自己破産」。住宅ローン、またはその他の借金の返済が困難になり、滞納してしまった場合に、自己破産という選択肢もあるのでしょうか。

自己破産した際にマイホームがどうなるかについても、あらかじめ知っておくようにしましょう。

自己破産後のマイホーム

自己破産をすることで、すべての借金を返済する義務がなくなります。当然、住宅ローンについても支払いの義務はなくなります。

そうなると、自己破産をしてしまうのが得策ではないかと考えるかもしれませんが、そんなに簡単なものではありません。

まず、自己破産をしたことによって、マイホームにそのまま住み続けることができなくなります。破産手続きによって、債権者にて処分の対象となるからです。

生活するにあたっての制限がある

自己破産することによって、信用情報にブラックリストとして登録されてしまいます。およそ5~7年のあいだは、新たに借入れをすることはできません。

その期間を過ぎれば、信用情報は回復するので借入れができる可能性はあります。しかし、まとまったお金が必要になったときは、自力で何とかするしかありません。

また、新たに借り入れができないのは自己破産者本人のみです。配偶者や家族がいる場合は、それらの方には大きな影響はないとされています。

マイホームを残せる方法もある

自己破産を検討する前に、「個人再生」という、マイホームを残してほかの借金のみを整理するという方法もあります。

住宅ローン以外に借金がないという方には検討はできませんが、他にも借金があるという方は選択肢として検討してみるのもいいかもしれません。

個人再生とは、裁判所を通して債務の減額を行う手続きになります。裁判所に再生のための計画書を提出し、認可されれば原則として5分の1まで債務が減額されます。

そして、その減額された債務を3~5年の期間で返済していくようになります。

まとめ

せっかく手にいれたマイホームですから、手放すのだけは避けたいと思うのが当然でしょう。そのためには、住宅ローンを契約する際に先のことをしっかりと考えて、さまざまなことを想定しておくことが大事です。その上で、毎月の返済金額を設定しましょう。

また、どうしても毎月の返済が困難になってしまった場合は、早めに金融機関に相談をすることで、マイホームを手放す以外の解決策が見つかるかもしれません。自分の状況をしっかりと把握して、最良の方法を選択するようにしてください。