近年は中古住宅を購入して自分好みに作り変えるリノベーションブームとなっています。購入する物件は古民家から築後間もない物件と様々ですが、リノベーションするにはリフォーム費用がかかります。
中古物件の購入費用にリフォーム費用が必要となってくるので、資金調達方法は住宅ローンとリフォームローンの併用が一般的でした。そこで登場したのが住宅金融支援機構のフラット35(リフォーム一体型)です。
住宅購入費用とリフォーム費用をフラット35単独で契約できるので、2つの契約をするよりも断然便利でその他のメリットも期待できます。
そこで今回はこのフラット35(リフォーム一体型)について詳しく解説していきます。中古住宅を購入してリノベーションを検討している人は、ぜひ参考にしてください。
- 【目次】フラット35(リフォーム一体型)
フラット35(リフォーム一体型)とは
冒頭でもいいましたが中古住宅を購入してリノベーションを行うには、中古住宅購入費の他にリフォーム費用が必要になり、下記どちらかの方法で資金調達しなければなりません。
- 自己資金で賄う
- リフォームローンで借りる
自己資金で賄うだけの資金があるならば問題ありませんが、近年のリフォーム費用は高額となる傾向があり、リフォームローンを利用する人が大半です。ローンを2つ組まなければならないことが利用者に不利益を生じさせる原因となってきます。
それではどのような不利益を生じさせるのかを見ていきながら、フラット35(リフォーム一体型)の特徴を解説していきます。
特徴
住宅ローンとリフォームローンには下記のような違いが見られます。
ローン種類 | 金利 | 返済期間 | 借入額 |
---|---|---|---|
住宅ローン | 固定金利で1~2%台 | 最長35年 | 高額 |
リフォームローン | 固定金利で3~5%台 | 最長10年~15年 | 低額 |
リフォームローンは住宅ローンよりも高金利となる上、返済期間が短く、借入額が最高でも500万円くらいに抑えられます。下記借入条件で2,000万円の中古住宅を購入して500万円のリフォームを行った場合、借入額がどうなるかを試算してみましょう。
借入条件
1. 住宅ローン
- 金利 1.350%(全期間固定)
- 借入期間 35年
- ボーナス払い 0円
2. リフォームローン
- 金利 3.0%(全期間固定)
- 借入期間 10年
- ボーナス払い 0円
その結果は下記のとおりです。
リフォームローン | 毎月の返済額 | 総返済額 |
---|---|---|
住宅ローン | 6万円 | 2,511万円 |
リフォームローン | 4.9万円 | 580万円 |
合計 | 10.9万円 | 3,091万円 |
そしてこれをフラット35(リフォーム一体型)で借入すればどうなるかを試算した結果が下記のとおりです。
ローン種類 | 毎月の返済額 | 総返済額 |
---|---|---|
フラット | 357.5万円 | 3,139万円 |
金利が高いとは言え返済期間に25年以上の差があるため総返済額は40万円強多くなっていますが、毎月の返済額はリフォームローンの支払いが終わるまで3万円強減額されています。支払い面でのメリットは総返済額は増えるが、毎月の支払いは減額できる点をどう捉えるかによりますが、下記の点においては間違いなくメリットが出てくると言えるでしょう。
- 契約が一度ですむので手続きが簡単
- 支払い管理を一元化できる
- 高額なリフォームローンが組める
先にも触れましたがリノベーション費用は年々高額となっているので、リフォームローンでは対応できないケースも出てきます。しかし、フラット35(リフォーム一体型)ならば借り入れの構成比は規定されていないので、500万円を超える借入をすることもできます。
よって、フラット35(リフォーム一体型)は下記のような人にはメリットを生むローン商品と言えるでしょう。
- 契約を簡素化したい
- 毎月の返済額を軽減したい
- 高額なリーフォーム費用の借入がしたい
利用条件
それではフラット35(リフォーム一体型)の利用条件を見ていきましょう。リフォーム一体型といってもベースはフラット35ですから、その利用条件は基本的にフラット35と同じと考えてもらっていいでしょう。
その詳細は下記のとおりです。
- 年齢 申込者時の年齢が満70歳未満
- 借入可能額 100万円以上~8,000万円以下で購入価格以内
- 借入期間 35年以内で下記どちらかの短い年数
- 金利 全期間固定金利1.35%~2.010%(融資率9割以下)
- 総返済負担率
1. 80歳-申込時の年齢(1歳未満切上げ)
2. 35年
※いずれかの借入期間が15年未満の場合は対象外
※2018年5月時点
1. 年収400万円未満:年収の30%以下
2. 年収400万円以上:年収の35%以下
リフォーム一体型ということで購入物件は中古物件に限られてくるのですが、その中古住宅が故に注意してもらいたい点は出てきます。その点について簡単に解説しておきましょう
利用時の注意点
フラット35(リフォーム一体型)では購入物件の条件として下記の2つが条件として加えられています。
- 中古住宅購入費用とリフォーム費用の合計額が税込1億円以下の物件
- 申込時点で竣工から2年超えの住宅、または以前に人が住んだことのある物件
この条件をクリアできない中古物件はフラット35(リフォーム一体型)借入の対象外となるので注意してください。
そして最も気になってくるのが住宅品質です。中古住宅購入となるため購入する住宅が住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合しているかどうかが、借入できるかどうかの重要ポイントとなってきます。
フラット35へ借り換えする際には、購入物件が住宅金融支援機構の定める技術基準に適合していることが条件です。その適合していることの証明方法が住宅の確認済証となるのですが、下記のように確認住証の交付日によって証明方法が違ってきます。
- 昭和56年6月1日以後 (フラット35)借換対象住宅に関する確認書の提出
- 昭和56年5月31日以前 適合証明書の提出
確認済証が昭和56年6月1日以後の交付なら確認書に記入して提出するだけですみますが、昭和56年5月31日以前の場合は適合証明検査機関または適合証明技術者による物件審査を受け、交付された適合証明書の提出が求められます。
古民家などの古い物件をリノベーションするなどの場合には、適合証目書の提出が求められる可能性が高くなってきます。物件購入時には確認住証の交付年数がいつになっているのかを確認するようにしてください。
手続方法と必要書類
次はフラット35(リフォーム一体型)の手続方法と必要書類について解説します。この契約の場合には中古物件購入とリフォーム工事が発生します。通常の物件購入だけのフラット35とは融資実行までの流れと必要書類が異なるのでよく理解しておきましょう。
借りる際の手続きの流れ
フラット35(リフォーム一体型)は取り扱いのある金融機関で申し込めます。しかし、取り扱っていない金融機関もあるので事前確認が必要です。まずは下記URLからお住まいの地域に取扱金融機関があるかを確認してみましょう。
※フラット35(リフォーム一体型)の取り扱いがある金融機関
https://www.flat35.com/files/300238910.pdf
また申し込みから融資までの手続きの流れは下記のとおりです。
- 金融機関へ借入申込
- 団体信用生命保険への申し込み
- 審査結果の通達
- 既存住宅売買瑕疵保険の付保
- 中古住宅購入の代金決済
- リフォーム工事計画の確認
- リフォーム工事の着工
- 竣工
- 適合証明検査
- 検査合格の通達
- 検査機関から適合証明書の交付
- リフォーム工事の代金決済
- 適合証明書を金融機関へ提出
- 金融機関とローンの借入契約締結、および抵当権の設定
- 火災保険への加入
- 融資実行
融資実行はリフォーム工事竣工後に適合証明検査を受けて、適合証明書の交付を受けた後になります。そのため融資実行までの中古住宅の代金とリフォーム工事の代金決済で支払う資金を用意しておく必要があります。
自分で支払えない場合にはつなぎ融資が必要となるので、申込先金融機関に相談するようにしましょう。
必要書類
フラット35(リフォーム一体型)の申し込みで必要になる書類は下記のとおりです。内容は通常のフラット35の申し込みとは違ってくるので注意してください。
- 借入申込書
- 所得証明書
- 中古住宅購入金額の確認ができる書類(売買契約書の写し)
- 住宅の登記事項証明書
- 土地の登記事項証明書
上記書類は全ての金融機関で共通して必要になるものです。申し込み先金融機関によって必要書類は違ってきます。必ず確認するようにしましょう。
まとめ
フラット35(リフォーム一体型)は中古住宅購入費用とリフォーム費用を一緒に借りられるので、住宅ローンとリフォームローンの併用よりも手続きは簡単に進められます。しかし、下記のような特徴を持つローン商品となってくるため、利用する際には自分にとって最善のものかを熟考する必要があるでしょう。
- 併用ローンより当初返済は安くなるが、リフォームローン完済後と比べれば高くなる
- 総支払額が併用ローンよりも高くなる可能性がある
利便性においては確実に併用ローンよりも高いと言えますが、返済方法については個々によってメリットとデメリットが入れ替わる場合も考えられます。検討時にはこの点をしっかりと理解しておくようにしてください。