住宅ローンの中に、「預金連動型住宅ローン」という商品があります。
特徴的な住宅ローンであることから、この商品のメリットを最大限に受けられるという方は少ないかもしれません。そのため、一般的な住宅ローンと比べて、契約する方が限定されてしまうのも事実でしょう。
今回は、預金連動型住宅ローンが具体的にどんな商品なのか?仕組みをはじめ、メリットやデメリットはどんなものなのか?などについての解説をしていきたいと思います。
預金連動型住宅ローンとは
預金連動型住宅ローンが具体的にどんな商品なのかについて、解説をしていきましょう。
まず、大きな特徴として挙げられるのが、住宅ローンの借り入れた残高の中から預金残高分を差し引いて金利計算をしてくれます。
一般的な住宅ローンは、借り入れ金額のすべてに金利がかかりますが、預金連動型住宅ローンでは預金残高のある分に対して金利がかからないということですね。
たとえば、預金残高が1,000万円ある方が3,000万円の住宅ローンを契約した場合、金利がかかるのは差額の2,000万円です。
もし3,000万円の住宅ローンを年利2%で借り入れた場合の利息は60万円となります。これを3,000万円-預金残高1,000万円=2,000万円にした場合、支払うべき利息は40万円になるのです。
預金があればあるほどに、繰り上げ返済をして残高を減らしたことと同じ効果を得られることも特徴と言えるでしょう。また、預金残高しだいでは低い金利で利用できる特典があったり、キャッシュバックがあったりする場合も。
預金連動型住宅ローンの詳細は、契約する各金融機関によって異なってきますが、大まかな仕組みとしてはこんな感じとなります。
どこで取り扱われているのか?
日本国内では、「東京スター銀行」が預金連動型住宅ローンを最初に取り扱いを開始したものの2014年に一旦休止、そして2016年にまた再開しています。
その他に、すべての金融機関というわけではありませんが、関西アーバン銀行をはじめとする地方銀行で取り扱われている場合もあります。
預金残高がある程度確保されているという方は、住宅ローン選びの選択肢の中に加えてみてはいかがでしょうか。
預金連動型住宅ローンのメリット
預金連動型住宅ローンが具体的にどんな商品なのかを知ったところで、どんなメリットがあるのかが気になるところではないでしょうか。
詳しく解説していきますので、チェックしていきましょう。
預金するだけで繰り上げ返済を行うのと同じ
まず、メリットのひとつとなるのが、預金をするだけで繰り上げ返済をしたことと同じになる手軽さにあります。
例を挙げると金利が2%であれば、100,000円を貯金するだけで2,000円ほどの金利が減らせるのです。
今はただ預金をしたところで、これだけの利息はつきません。その上、住宅ローンの金利は預金残高に応じて日割り計算されます。よって、預金をすることが楽しみなんてことも思えるかもしれませんね。
手元にお金を残しておくことができる
一般的な住宅ローンの場合、繰り上げ返済を行うことによって貯金の残高が減ります。また、一度繰り上げ返済を行ってしまえば、そのお金が返ってくることもありません。
預金連動型住宅ローンを契約することによって、もし何かでお金が必要になった場合は預金から必要分の引き出しをすることもできます。もちろん引き出した分に対しての金利はかかってしまいますが、安心感の面で大きな違いが出てくるのは確かです。
手元にお金を残せて自由度が高いという点は、メリットと言えるのではないでしょうか。
住宅ローンの控除にも影響がない
住宅ローンの残高に応じて、税金から一定の金額を控除できる仕組みが「住宅ローン控除」と言います。住宅ローンの繰り上げ返済をしてしまうと、この住宅ローン控除の金額が減り、還付される税金も減ってしまいます。
そこで、預金連動型住宅ローンでは住宅ローンの残高に影響がありませんから、当然ながら住宅ローン控除にも影響がないということになります。
預金連動型住宅ローンのデメリット
一見お得さのあるように見える預金連動型住宅ローンですが、デメリットがないわけではありません。メリットだけで判断をせずに、デメリットがあることも知った上で検討するようにしましょう。
取り扱っている金融機関を探すのが困難な場合も
前の項でも少し触れていますが、預金連動型住宅ローンをどこの金融機関で取り扱っているの?となった場合、検索してもすぐに見つからないことが出てくるかもしれません。
金融機関であれば、どこででも扱っているわけではないので、その点はどうしてもデメリットになってしまいます。
たとえば東京スター銀行などですと、東京都内、埼玉、神奈川、千葉、他は全国的に見ても政令指定都市のみに店舗が設置されているのみです。
また、地方銀行などで取り扱いがあったとしても、各金融機関側が契約の条件としている「銀行のエリアに在住か在勤」などの条件に該当せず、契約すらできない場合もあります。
検討する際には、まず自分の居住区域に店舗があるかどうかを確認するのが先になると言っていいでしょう。
金利は一般的な住宅ローンと比較して高めの設定
預金連動型住宅ローンは特徴的な商品ですが、最大のデメリットとして挙げられるのは、一般的な住宅ローンよりも金利設定が高めになることでしょう。
預金連動型住宅ローンは変動金利タイプが多いですが、2%をこえているなどの場合もあるほど。預金残高の部分には金利がかかりませんが、その他については高くなってしまうことが特徴です。金利は各金融機関で違いはありますが、もしかしたら倍近い金利を支払うなんてことも出てきます。
金利差のことを考えると、預金連動型住宅ローンを利用するにあたって、住宅ローンと同額程度預金残高を持っているのが前提になるかもしれませんね。
預金連動型住宅ローンがおすすめの方とは?
それでは、預金連動型住宅ローンがおすすめできるのは、どんな方となるのでしょうか?
まず挙げられるのは、この預金連動のシステムを最大限に活かすことができる場合に尽きるでしょう。預金はあるものの、その金額がわずかなものであったりする場合は、金利の安い住宅ローンを探したほうが金利負担はおさえられるかと思われます。
会社経営者や自営業者の方
会社経営者や自営業者などですと、事業上で必要となるまとまったお金を個人の口座で管理している場合があるもしれません。そんな方ですと、預金連動型住宅ローンは有効に利用できる可能性は高くなります。
事業上で使うお金は、繰り上げ返済に充てることはNGとされています。ですが、ただ口座に預金しておくだけであれば、問題となることは何もありません。
預金が多い人ほど有利な住宅ローン
預金連動住宅ローンとは、預金が多ければ多いほどに優遇される仕組みになっています。この住宅ローンを利用することをおすすめできるのは、購入した物件と同等、もしくはそれ以上の金額を持っている方になってきます。
東京スター銀行の預金連動型住宅ローンを例にしてみると、預金を増やすほどに金利が下がります。
預金残高しだいで優遇が変わる以上、やはりお金に余裕がある方でないとおすすめはできません。
参考元:http://www.tokyostarbank.co.jp/campaign/homeloan_starone/index.html
まとめ
預金連動型住宅ローンがどんな商品なのかについて、メリットやデメリットと一緒に解説してきました。
振り返ってみると、一般的な給与所得者の世帯ですとメリットはあまりなく、会社経営者や自営業者などが利用しやすい住宅ローンなのかもしれません。
預金連動型住宅ローンがどんな商品かも把握しつつ、他にも金利が低いものや条件面で有利な住宅ローンを探してみるのがいいかもしれませんね。
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